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【社長の年金】第7回:社長業を続けると年金がカットされる仕組みとは(70歳以上編)

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前回、前々回と2回にわたり、法人の代表者の年齢が60歳台前半の場合と、後半の場合の「在職老齢年金」の仕組みを解説してきた。今回は、法人の代表者の年齢が“70歳以上”の場合の年金調整のルールを見てみよう。

“70歳以上”では厚生年金に入っていないのに年金がカット

これまで、年金調整の仕組みである「在職老齢年金」の対象になるのは、「厚生年金に加入しながら働いている場合」と説明をしてきた。確かに、60歳台の場合にはその通りなのだが、“70歳以上”になると、やや事情が異なる。

厚生年金の加入年齢は、原則として70歳未満と決まっている。そのため、通常は“70歳以上”で厚生年金に加入しながら働くことはない。

しかしながら、たとえば60歳台で在職老齢年金の対象になっていた社長が、同様の働きぶりで70歳を迎えた場合には、“70歳以上”でも在職老齢年金の対象になる。

つまり、“70歳以上”では厚生年金に加入していないにも関わらず、在職老齢年金の対象となり、年金の調整が行われることになるのである。

“70歳以上”の社長業は、年金上はデメリットしか存在しない

“70歳以上”の場合の年金カットルールは“60歳台後半”と全く同じで、今年度であれば「47万円」を基準額として調整が行われる(詳細は前回記事を参照のこと)。また、カットされた年金が後で払われることはないのも、“60歳台後半”と同様である。

60歳台で社長業を営む場合には、「年金がカットされる」というデメリットこそあるものの、厚生年金に加入して保険料を納めているので、「リタイア後の年金の増額に結び付く」というメリットも持ち合わせている。つまり、年金上のメリットとデメリットが共存する状態なのが、60歳台の在職老齢年金の特徴である。

これに対し、“70歳以上”で社長業を営む場合には、「年金がカットされる」というデメリットはあるものの、厚生年金に加入しているわけではないので「リタイア後の年金の増額に結び付く」というメリットが存在しない。

誤解を恐れずに言ってしまえば、“70歳以上”の在職老齢年金は、「単なる年金の引かれ損」のような側面を持つ制度と言える。

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