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若手育成に「メンター制度」は本当に効いている?!

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企業における「メンター制度」は80年代アメリカで発祥したといわれているが、日本においては、特に新入社員や若手に対し、会社や配属部署における上司とは別に指導・相談役となる先輩社員が新入社員をサポートする制度として導入するケースが多く見受けられる。新入社員を対象としたメンター制度の導入状況、その効果とは?

中小企業でも過半数が導入する「新人に対するメンター制度」

まず、「メンタリング」とは、メンター(指導者)が直接「指示や命令」等で教えることではなく、対話によってメンティ(被育成者)に気づきを与え、本人の自発的な成長を促す方法とされている。事業会社毎に「メンター制度」の内容や解釈は様々のようだが、HR総研にて人事担当者向けに、新入社員に対し正式な職場に配属された後のメンター(ブラザー・シスター等)を任命しているかを調査したところ、「メンター制度(それに準ずる制度・取組み)がある」と回答した企業が51%と過半数を超えているのが現状だ。
大企業での導入が進んでいる制度と捉えられている節もあるが、企業規模別でみた実施している企業は、大企業(1001名以上)で62%、中堅企業(301~1000名)で43%、中小企業(300名以下)で51%と、中小企業でも多く導入されている制度といえよう。

「メンター制度」は機能しているのか

メンター制度の課題についても聞いたところ、
・メンターの指導力が十分ではなかったり、十分な時間を割けなかったりする。
・メンターによって新人に対する関与度合いに個人差がある。
・メンターの資質に影響されやすいため、メンター自身への教育や方針を徹底・共有する必要がある。
・人員構成上、メンターの設定が厳しい部署がある。
など、メンター自身への過大な負荷や、メンターの能力のばらつき、選出の難易度がコメントとして挙げられている。

また、指導役の存在によって効果が決まるメンター制度は、指導役に対する会社側のサポートが重要になるが、メンターに任命された先輩社員が十分に役割を遂行できるよう何らかの支援を行っているかを調査したところ、「特に支援を行っていない」と回答した企業が21%にものぼっており、
・育成の文化が希薄なため、メンターに選出された社員が負担感を持ってしまう。
・(新人社員の)直属上司の理解不足。
・エリアや上司によって温度差がある。
といったコメントも寄せられている。メンターによる育成という手法が、社風・組織に受け入れられていないために、一層メンターに負荷がかかっているケースも散見される。

一方で、「毎年、定期採用をしているため、順送りにメンターをしている。特に問題は感じていない」と回答する企業もある。そういった企業では、メンター制度への理解、メンターへの周囲からのサポートが、組織風土として定着しているのであろう。

メンター制度にはいくつかの問題点もあるが、より緊密な人間関係の中で、個別に新人の不満を解決した上で、成長にむけた教育・指導を施すことができる人材育成法ではある。メンター制度を導入するにあたっても、メンターに任せ切るのでは効果は見込めない。言い古されたことではあるが、「新人は皆で育てる」というマインドを、トップがどれだけ強く発信し、どれだけ多くの従業員に新人育成の当事者になってもらえるかがカギになるのであろう。

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ProFuture株式会社内に設立された調査・研究機関です。人事が変革のエージェントになるためのサポートをミッションとし、企業・団体のHR領域に関する調査・研究を行っています。

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