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【社長の年金】第3回  個人オーナーの年金はどうすれば増えるのか(2)

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個人オーナーの年金は、どうすればもっと増やすことができるのか。第3回に引き続き、今回も「個人オーナーの年金増額法」を考えてみよう。

新たな支出を伴わない年金増額法もある

前回は「個人オーナーの年金増額法」として、
(1)保険料の“未払い”をなくす
(2)国民年金に「任意加入」する
(3)「付加保険料」を払う
という3つの方法を紹介した。

他にも「国民年金基金」や「個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する」という方法が考えられるだろう。

年金制度は、事前に資金を“支出”することでメリットを享受できるシステムなので、“支出”した資金が多いほど受取年金額も多くなる。よって、これらの方法はいずれも、保険料という名の“支出”を伴う年金増額法と言える。


ところが、新たな“支出”を行わずして、年金額を増やすことができる方法も存在する。それは「年金の受取開始時期を遅らせる」という方法だ。

国民年金から支給される老齢基礎年金は、通常であれば65歳から受け取り始めるものだが、この受取開始年齢は、本人の意思で変更することができる。具体的には、65歳から受け取るはずの年金を、66歳から70歳の間で申し出た時から受給を開始できるのだ。



このように、通常の受給開始年齢より遅らせることを「繰下げ受給」という。あるいは、「年金を繰下げる」という言い方をすることもある。

たとえば、65歳から受け取るはずの年金を66歳から繰下げて受け取ったとする。この場合、66歳から繰下げて年金を受け取った人は、年金を受け取る期間が通常より1年間短くなるため、その分、1回にもらえる年金額が増えるのだ。

最大42%の増額が可能な「繰下げ受給」

受給開始時期を繰下げることによる増額割合は、1ヵ月につき0.7%である。つまり、受け取りを1ヵ月遅らせるごとに、年金額が0.7%増額されるのである。

先ほど挙げた66歳からもらい始めるケースでは、1年間受け取りを遅らせることになるので、年金の増額割合は0.7%×12ヵ月=8.4%となり、65歳から受け取るよりも、8.4%多い額がもらえることになる。

現在、老齢基礎年金の満額は779,300円なので、1年間受け取りを遅らせると、8.4%増えた884,761円が受け取れる計算だ 。

一般的な金融商品に、元本が保証された上で1年間に8.4%も増額される仕組みなど、およそ存在しない。その意味では、年金増額法として見た場合の「繰下げ受給」は、独自性の際立つ手法と言える 。

この制度を用いると、最長で70歳までの5年間、受け取りを遅らせることができる。仮に5年間繰下げたとすると、年金の増額率は0.7%×60ヵ月(5年)=42%となり、65歳から受け取るよりも42%増えた額を受給できる。具体的には、満額779,300円の老齢基礎年金が、1,106,606円となる。

老齢基礎年金の額は少ないことが取り沙汰される傾向にあるが、このように工夫次第では、100万円を超える年金に変えることもできるわけだ。

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