
先の電通事件、政府による働き方改革を皮切りに、長時間労働是正に向けて労働基準監督署による企業の取り締まりが強まっている。この動きに疑問を呈する経営者がいるようだ。しかし筆者は、疑問を呈するよりも、制約ある時間のなかで効率よく働く方法を創造すべきだと考える。そこで本稿では、長時間労働を題材にこれらを考えてみたい。
労基法は現代に馴染まないのか?
日本の1人あたりの労働生産性は、OECDに加盟する先進7か国のうち常に最下位という有名なデータがある。これは、長い時間を費やした割に成果が極小であることを意味する。「長時間労働の是正」という大きなうねりがある今こそ本腰を入れて各企業が取り組まねばならない課題である。それでも一部には、日本の産業構造に現在の労基法が馴染まないという意見がある。しかし、これは議論のすり替えに過ぎない。それは、先で触れたデータからも明らかである。長時間労働が生産性を高めることに繋がっていないのだから。
長時間労働がダメなワケ
また、長時間労働がダメなのは、法律が規制をかけているから…ではない。脳・心臓疾患にもたらすリスクが長時間労働によって倍増することが医学的に証明されているからだ。だから法定の枠を超えて労働させれば割増分を使用者に負担させることでその抑止を試みているのである。にも関わらず、寝る暇を惜しんで事に仕えさせるのは、もはや前近代的な奴隷状態と言わざるを得ないのではないだろうか。
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