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善管注意義務

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 善管注意義務とは「善良なる管理者の注意義務」のことをいう。民法に定められているもので、商法および民法で規定される経営者 (取締役、代表取締役) が常識的に払うべき注意義務を指す。

 たとえば企業の合併や買収が行われる場合には、事前の基本合意契約時に盛り込むことが多い。交渉の過程において、売り手側の経営者が、買い手側の承認を得ないままに多額の資産を処分したり新たな借入れを行ったり、役員報酬の増額を行うのを防ぐためだ。

 企業においては、会社から経営の委任を受けている取締役が「善良な管理者」とみなされる。一般の社員とは異なり、取締役には高度な注意力やコンプライアンス遵守姿勢が要求されるのだ。

 公私混合や、取締役の権限を悪用した放漫経営などは善管注意義務違反という法律違反となる。たとえば、代表取締役が貸借契約が解除された後も、そのまま不動産の占有を続けていたというようなケース。代表取締役に善管注意義務違反があったとみなされるだけでなく、他の取締役も、代表取締役を監視すべき義務を怠っていたと判断されかねない。

 過去の大きな事例としては、大和銀行ニューヨーク支店事件がある。行員の1人が10年以上に渡り無断で財テク取引を行った結果、銀行に多額の損害を生じさせた。さらに上層部が事実を知りながら隠ぺい工作を行なったことが判明。株主は訴訟を起こして損害賠償を請求した結果、当時の役員らに対し7億ドル以上の支払いが命じられた。
このときは、違法行為を行った従業員を放置したことに対してのみならず、従業員が、違法行為ができないようなシステムを構築していなかったことや監視の義務を怠ったことに対する責任も取締役が負うことになった事例として、他の企業からも注目が集まった。

 最近では東芝の不正会計処理、ドイツ自動車大手フォルクスワーゲンの二酸化炭素(CO2)排出量不正や、旭化成建材の杭工事データ偽装なども、善管注意義務違反の例といえるだろう。

 社員が違法行為を行えば、社長をはじめ、取締役も同様に法律違反とみなされ、大きな補償問題に発展し会社経営にダメージを与えかねない。経営陣はこれを改めて肝に銘じ、心して事業運営に取り組む必要があろう。

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