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人工光合成

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 人工光合成(Artificial photosynthesis)とは太陽光のエネルギーを使って、文字通り人工的に植物の光合成と同じ現象を発生させる技術である。人工光合成の流れは、光触媒などを利用して水(H2O)に太陽光を当て、酸素(O2)と水素(H2)に分解。この水素(H2)を二酸化炭素(CO2)と合成することで、エネルギー源となり得る有機化合物を生成するというものだ。太陽電池は発電した電力を蓄積できないが、人工光合成ならば有機物の形で蓄えることができる。そのため、地球温暖化の一因であるCO2を減らし、「夢のクリーンエネルギー」生成を実現する技術として世界が注目している。

 日本は人工光合成に必要な光触媒技術で世界に先行している。1970~1980年代には、東京大学大学院の藤嶋昭氏と指導教官の本多健一氏が、酸化チタンに紫外光を照射することで水分解が可能であることを世界で初めて発見した(本多・藤嶋効果)。その後、2000年代に入り可視光吸収型光触媒が発見され、多くの研究開発が進むようになった。2011年に豊田中央研究所が、二酸化炭素と水からギ酸(HCOOH)を合成することに成功。2012~2013年にはパナソニックが、ギ酸やメタンを生成するシステムを公開している。さらに2014年12月には東芝が人工光合成において、太陽エネルギー変換効率1.5%を実現したとしている。また2015年3月には、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)が、人工光合成技術で世界最高レベルとなる太陽エネルギー変換効率である2%を達成したことを発表した。

 人工光合成の最大の課題は、低い太陽エネルギー変換効率だ。既に植物レベルの0.2~0.3%は超えているが、産業として活用していくためには、さらに高い変換効率が必要になる。
2015年4月には日本の理研がエネルギー変換効率15.3%を実現したと発表。さらに2015年8月には、オーストラリアのメルボルン近郊にあるモナシュ大学の研究チームが、太陽光から水素への変換で、世界最高記録となるエネルギー変換効率22%の生成装置を開発したと発表した。これが本当であれば、世界最高記録の達成であり、今後は実用化に向けた取り組みが本格化してくるものとみられている。

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