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エンプロイアビリティ

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エンプロイアビリティ(employability)とは経営学用語の一つで、企業が従業員を雇用する場合に、その従業員が持っている雇用に値する能力のこと。すなわち、労働市場における能力評価、能力開発目標の基準となる実践的な就業能力と捉えることができる。

現代社会は産業構造の変化、技術革新の進展、終身雇用の崩壊、労働者の就業意識・就業形態の多様化などに伴い、労働移動が増大している。そのため、労働者は企業を超えて通用する能力を身に付ける必要性が高まっている。また企業側も、特定の職務への習熟から、変化への適応能力や問題発見・解決能力、さらには創造的能力等を重視し、教育機会を提供していくべきだとされている。

アメリカにおいては、1980年代に市場競争の激化により、多くの企業がダウンサイジングを推進した。その結果、長期雇用という経営者と従業員が共有していた暗黙の了解事項を破棄することになり、従業員のモラールの減退や生産性の低下など、企業、従業員双方にとってマイナスの効果を引き起こした。その後、1990年代に入り、多くの経営者は従業員との良好な労使関係の構築を模索しはじめ、従来の雇用保障に代わる労使間の新しい契約目的として、エンプロイアビリティの概念が注目されてきた。端的に言えば、「経営者は自社における永続的な雇用を保障しない代償として、従業員に対して他社でも通用する高い技術や能力を身につけるだけの教育・訓練の機会を提供する」というものである。

一方欧州(EU)では、情報技術を始めとする高度先端技術の急速な進歩に対し、日米に比べて乗り遅れたという強い危機感から、1990年代に入り、いくつかの共同の教育訓練政策を模索し始めた。これらの政策は、国境を超えた域内レベルでの労働移動を可能にする高い能力を持った労働者の育成という点で、また、基本的な教育水準や職業上の技能について域内で共通の基準を定めることにより、能力水準の平準化を図るという点で共通している。そして、EUが域内の統合を一層促進する中で、次第に「エンプロイアビリティ」という概念が使用されるようになってきた。

我が国において、エンプロイアビリティという概念はまだ十分に浸透していない。エンプロイアビリティ形成のための教育訓練は、企業にとって経営負担になることは確かだ。しかし、より高い生産性、より良い品質の製品、モラールの向上、優れた人材の確保などの効果が見込まれる。一方従業員にとっても、将来の不安の解消というメリットがある。今後、企業・業界などの垣根を超えてますます流動化するであろう労働市場において、各労働者が円滑な再就職を果たし、転職しても適切な処遇を得るために、労働者の雇用に際して客観的な尺度を設定するとともに、労働者が自らの能力を客観的に知り得る仕組みを整備し、能力開発を図る指標を構築する必要がある。

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経営者・事業部門責任者から部長・課長・リーダー層まで、経営の根幹を支える人たちの成長を支援するパートナーメディアを目指します。日々の業務に役立つニュースや小ネタ、組織強化や経営理論まで幅広く学べる記事を提供します。

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