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ディープスマート

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ディープスマートとは経験によってのみ獲得される経験的な智慧であり、文書化したり記録したりすることが難しい専門知識やスキルのことだ。この言葉は「ハーバードビジネスレビュー」2005年2月号にドロシー・レオナルド(ハーバード・ビジネススクール 名誉教授)とウォルター・スワップ(タフツ大学名誉教授)の2人が「経験からしか学べない ディープ・スマート:暗黙知の継承」という論文を発表し、また、『「経験知」を伝える技術 ディープスマートの本質 』という本も出版し、マネジメントの分野で使われるようになった。

論文の冒頭はこうだ。「だれかが複雑極まりない況下において、瞬時に決断を下したとしよう。後に、その決断がそこそこ優れていたという程度のものではなく、まさしく素晴らしいものだったことがわかると、『なんて頭がよいのだろう』と関心したりするものだ。その人が同じようなことを繰り返すのを見ていると、特別な何かの存在に気づくはずである。」

米国のジャーナリストであり、ビジネス関連のヒット本を連発しているマルコム・グラッドウェルの『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』には、芸術作品を一目見ただけで「贋作だ」と判断した専門家たちが登場する。彼らも本物の芸術作品を数多く目にし、無意識のうちに本物と偽物を見分けられる「知識」と「勘」を身に付けたため、理由はわからなくても「何かおかしい」と瞬時に判断できるようになったのだ。

優秀な経営者は多くの経験を積んで、それを知識に転換することでディープスマートを身につけている。だから、経験したことのない困難な問題にも対処できるのだ。経験は知識や知恵となり、本やマニュアルには書かれていない判断力を磨くのを助けてくれる。成功体験だけではなく、失敗からも受け取り方によっては成功以上の学びを獲得することができる。

問題はマネジメントに関するディープスマートの継承が簡単ではないということだ。レオナルドとスワップは、大半の企業の人材開発プログラムには人間の学習方法に関する洞察が欠けていると主張する。目に見える技能や経営知識ばかりを詰め込み、ディープスマートを継承する仕組みできていないと言うのだ。そして、ディープスマートを獲得するための方法論として、システマティックな徒弟制度の有効性を訴える。職人世界の「見て盗め」ではなく、指導者の元で意識的かつ効率的に経験をつませ、先輩の智慧を継承させようと言うのである。

経営者の重要な仕事の一つは自らが会得した知識や知見を次代の伝え、事業を継承することだ。情報社会において経験によってのみ会得できる智慧とは何なのか、あるとすれば、それを伝える技術はあるのか。ディープスマートは深く重い問いを含んだ言葉でもある。

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経営者・事業部門責任者から部長・課長・リーダー層まで、経営の根幹を支える人たちの成長を支援するパートナーメディアを目指します。日々の業務に役立つニュースや小ネタ、組織強化や経営理論まで幅広く学べる記事を提供します。

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