経営・ビジネスの課題解決メディア「経営プロ」

特別読み切り

従業員を守るため、経営者・管理者が知っておくべき「精神疾患(精神障害)」と「メンタルヘルス(こころの健康)」とは

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

今、新型コロナウイルス感染症の蔓延における日常生活の変化やリモートワークの普及などにより、ストレスが高まる傾向にあると言われています。事業所において、「メンタルヘルス不調」で休職や退職をする社員も少なくありません。2022年4月からのパワハラ防止法の完全施行も、心理的負荷の増大や精神疾患の発症の問題をクローズアップさせています。経営者や管理職に対しては、メンタルヘルス(こころの健康)に関するより深い認識が求められています。

「精神疾患(精神障害)」とはどういうものか

「精神疾患」と「精神障害」という言葉はどう違うのでしょうか。「精神疾患」は医療関連用語として使われ、「精神障害」は主に行政や福祉サービスなどにおいて用いられる、という解釈もされます。また、「精神疾患」の場合、脳の器質性などの原因による病態・症状、もしくは検査所見、経過・予後などによって病気と見なすことができる状態を指し、「精神障害」については、原因などが不明であるが精神機能において一定の障害が認められる状態を指す、とも言われています。

例えば、2013年から日本における四大疾病に精神疾患が加わり、五大疾病とされています(「がん」、脳卒中などの「脳血管疾患」、心筋梗塞・狭心症などの「虚血性心疾患」、「糖尿病」、「精神疾患」の5つ)。一方、「精神障害」という表現は、国際的な診断・統計基準であるDSM(アメリカ精神医学会「精神障害の診断と統計マニュアル」)やICD(世界保健機関・WHO「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」)における具体的な分類の中で、多く使われています。

2021年12月17日に大阪市北区の心療内科クリニックで起こった放火殺人事件は、その死者の多さによる重大性に加えて、このクリニックが休職した人の職場復帰を支援する貴重な場所であったことにも、大きな衝撃が広がりました。犯人自身もこのクリニックの診察券を持っていたとのことで、何らかの精神的な不調を持っていた可能性もありますが、この事件によって、短絡的な差別意識を持つことは全く筋違いです。精神の不調をきたしたり、何らかの精神障害を患ったりする可能性は、誰にでもあり得るという認識が大切です。

「メンタルヘルス不調」による長期休職や退職は、大規模事業所において多い傾向

人事労務分野では、「メンタルヘルス」という言葉がよく使われます。「メンタル(こころ、精神)」と「ヘルス(健康)」を合わせた言葉で、「こころの健康」を意味しています。「メンタルヘルス不調」とは、「こころの健康状態に不調・変調がある」ということです。

厚生労働省の労働安全衛生調査(2020年・実態調査)によると、過去1年間にメンタルヘルス不調を理由に連続1ヵ月以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所割合は、平均で9.2%です。事業規模別の内訳を見ると、規模が大きい事業所ほど、休業した労働者が居る事業所の比率が高くなっています。母体の人数が増えるほどその割合も高くなるため、ある意味当然かもしれません。しかし、母数を常用労働者全体とした場合で見ても、やはり大規模事業所のほうが高くなっているのです。組織が大きくなるほど、管理体制も厳しくなったり、自分の仕事上の役割や達成感が見出しにくくなったりする傾向も考えられるのかもしれません。

休職する労働者の割合を産業別に見ていくと、情報通信業、電気・ガス・熱供給・水道業、学術研究、専門・技術サービス業、複合サービス事業が高くなっており、特に情報通信や専門技術サービス業などにおいてストレスが高い傾向がうかがえます。
「メンタルヘルス不調」による長期休職や退職は、大規模事業所において多い傾向

お気に入りに登録

関連記事

会員登録 / ログイン

会員登録すると会員限定機能や各種特典がご利用いただけます。 新規会員登録

会員ログインの方はこちら