『老後親子破産』(NHKスペシャル取材班 著/講談社)
NHKスペシャル「シリーズ老人漂流社会」第4弾の書籍化である。2015年の国勢調査では、65歳以上が総人口の26.7%を占め、4人に1人が高齢者だという。
団塊世代が自分の両親の介護のために離職や転職をし、氷河期の就職難で非正規雇用の団塊ジュニアと一緒に暮らすとなると、待っているのは温かな老後などではなく、共に破産を余儀なくさせられる、というのが本書で展開される残酷な内容である。そして、それはもはや他人事などではなく、だれにでも訪れる現実である。
たとえば、団塊世代の夫婦と30代の息子と娘の4人世帯の収入が合わせて約500万円の具体例が本書では紹介されている。息子がリストラにあい、一緒に住むことになるのだが、精神的に落ち込み、ひきこもり状態となる。娘は非正規のパートタイマーとして働いている。65歳と68歳の両親は老体にむち打ち仕事を辞めることができない。しかし母親がリストラにあい、父親にも心筋梗塞が発見される。たちまち医療費が重くのしかかり、親子破産のカウントダウンが始まる。
本来なら、家族と共に過ごせば老後の安泰が約束されるはずであった。だが本書は、それが幻想に過ぎないことを具体的に取材しながら克明に明かしていく。
大きなリスク要因は、医療費や介護費用が増えていくことである。24時間介護施設は不足し、民間の施設は料金が高い。訪問ヘルパー、デイサービス、ショートステイなどの介護サービスは、介護の必要性が増大するほど費用が高くなっていく。しかも息子や娘と一緒に暮らすと、収入があるとみなされて生活保護が打ち切られる。団塊世代が親の介護のために仕事を辞めても、次の仕事は見つからない。少ない年金も市民税や保険料が天引きされて、あまりあてにならない。
親の介護を理由に退職や転職をする人は年間10万人。介護離職をすることでより厳しい家庭環境に追いこまれる人々は少なく見積もっても数十万人以上になる。
必死に働いても介護に追われ、しかもいつ破産するか分からないという不安にも襲われる。さらに日本人は、自分のそうした境遇を人に相談したがらない。何とか自分で解決しようとし、他人の情けや助けを受けたくないというメンタリティーが、より絶望的な窮地へと追いやっていく。本書が突きつける現実は、あまりにも重い。
団塊世代が自分の両親の介護のために離職や転職をし、氷河期の就職難で非正規雇用の団塊ジュニアと一緒に暮らすとなると、待っているのは温かな老後などではなく、共に破産を余儀なくさせられる、というのが本書で展開される残酷な内容である。そして、それはもはや他人事などではなく、だれにでも訪れる現実である。
たとえば、団塊世代の夫婦と30代の息子と娘の4人世帯の収入が合わせて約500万円の具体例が本書では紹介されている。息子がリストラにあい、一緒に住むことになるのだが、精神的に落ち込み、ひきこもり状態となる。娘は非正規のパートタイマーとして働いている。65歳と68歳の両親は老体にむち打ち仕事を辞めることができない。しかし母親がリストラにあい、父親にも心筋梗塞が発見される。たちまち医療費が重くのしかかり、親子破産のカウントダウンが始まる。
本来なら、家族と共に過ごせば老後の安泰が約束されるはずであった。だが本書は、それが幻想に過ぎないことを具体的に取材しながら克明に明かしていく。
大きなリスク要因は、医療費や介護費用が増えていくことである。24時間介護施設は不足し、民間の施設は料金が高い。訪問ヘルパー、デイサービス、ショートステイなどの介護サービスは、介護の必要性が増大するほど費用が高くなっていく。しかも息子や娘と一緒に暮らすと、収入があるとみなされて生活保護が打ち切られる。団塊世代が親の介護のために仕事を辞めても、次の仕事は見つからない。少ない年金も市民税や保険料が天引きされて、あまりあてにならない。
親の介護を理由に退職や転職をする人は年間10万人。介護離職をすることでより厳しい家庭環境に追いこまれる人々は少なく見積もっても数十万人以上になる。
必死に働いても介護に追われ、しかもいつ破産するか分からないという不安にも襲われる。さらに日本人は、自分のそうした境遇を人に相談したがらない。何とか自分で解決しようとし、他人の情けや助けを受けたくないというメンタリティーが、より絶望的な窮地へと追いやっていく。本書が突きつける現実は、あまりにも重い。

関連リンク
お気に入りに登録