『新版 オーケストラ指揮法 ―― すべての心をひとつにするために』(高木 善之 著/総合法令出版)
最初に断っておくが、本書は指揮者志望の若者やクラシックマニアのために書かれたものではない。
著者は大阪大学卒業後、松下電器に28年在職し、その間、システム構築のプロジェクトマネジャーとして働きながら、社内に日本一の合唱団を作り上げ、オーケストラの指揮まで任されるようになった人物だ。
だが、日本一になるまでには、交通事故で瀕死の重症を負い、車椅子に乗るのさえ無理だろうと言われ、真剣に自殺を考えるほどの挫折を経験している。その事故が起こったのは、「指揮者が絶対」「指揮者は結果が求められる」という信念のもと、鬼のような厳しい指導によって合唱団を全国2位にまで導いたものの、どうしても1位がとれず、自信を失いはじめた頃だった。寝返りすら打てない病院のベッドの上で、著者は自分との対話を繰り返し、自分が世間の固定観念に縛られていたことに気づく。そして、「人は命令によって動くのではない。人は自らの気付きによって動くのだ」と悟り、奇跡的な回復を遂げて復帰した後、指揮者としても職場の管理職としても、従来とは異なる指導法を実践するようになった。
そのポイントは「信頼し、任せる」「人の意見に耳を傾ける」「失敗を恐れない」「指示命令しない」「気づくチャンスを作る」「気づくじゃまをしない」「ほめない、叱らない」「誤りを指摘しない」「同じ立場に立つ」「目的を明確にする」ことだった。
興味深いのは「人間というものは、『こうしなさい』と言われれば逆らいたくなり、「自由に」と言われれば、周りに合わせるようになる」という指摘だ。部下に「俺の言うとおりにしろ」と言えば逆らい、「任せる」と言えば、「どうすればいいのでしょうか」と聞いてくるというのだ。著者は誰もが何かの分野のプロであり、オーケストラの指揮者であると言う。そして、「プロである」という自覚をもって生き、周りの人の力を最大限に引き出し、周りの人に最高の仕事をしてもらうべきだと語る。チームの力を引き出し、結果を出すためのヒントに富んだ良書である。
著者は大阪大学卒業後、松下電器に28年在職し、その間、システム構築のプロジェクトマネジャーとして働きながら、社内に日本一の合唱団を作り上げ、オーケストラの指揮まで任されるようになった人物だ。
だが、日本一になるまでには、交通事故で瀕死の重症を負い、車椅子に乗るのさえ無理だろうと言われ、真剣に自殺を考えるほどの挫折を経験している。その事故が起こったのは、「指揮者が絶対」「指揮者は結果が求められる」という信念のもと、鬼のような厳しい指導によって合唱団を全国2位にまで導いたものの、どうしても1位がとれず、自信を失いはじめた頃だった。寝返りすら打てない病院のベッドの上で、著者は自分との対話を繰り返し、自分が世間の固定観念に縛られていたことに気づく。そして、「人は命令によって動くのではない。人は自らの気付きによって動くのだ」と悟り、奇跡的な回復を遂げて復帰した後、指揮者としても職場の管理職としても、従来とは異なる指導法を実践するようになった。
そのポイントは「信頼し、任せる」「人の意見に耳を傾ける」「失敗を恐れない」「指示命令しない」「気づくチャンスを作る」「気づくじゃまをしない」「ほめない、叱らない」「誤りを指摘しない」「同じ立場に立つ」「目的を明確にする」ことだった。
興味深いのは「人間というものは、『こうしなさい』と言われれば逆らいたくなり、「自由に」と言われれば、周りに合わせるようになる」という指摘だ。部下に「俺の言うとおりにしろ」と言えば逆らい、「任せる」と言えば、「どうすればいいのでしょうか」と聞いてくるというのだ。著者は誰もが何かの分野のプロであり、オーケストラの指揮者であると言う。そして、「プロである」という自覚をもって生き、周りの人の力を最大限に引き出し、周りの人に最高の仕事をしてもらうべきだと語る。チームの力を引き出し、結果を出すためのヒントに富んだ良書である。

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