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早稲田会議 2050年、日本と日本企業が目指す道

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『早稲田会議 2050年、日本と日本企業が目指す道』(内田和成 著/東洋経済新報社)

 「早稲田会議」とは、著者である早稲田大学ビジネススクール教授の内田和成氏の発案で始まったCEOラウンドテーブルのことだ。2010年5月からスタートし、2015年5月までに6回が開催された。日本を代表する企業のリーダーと有識者24名が「ノーガード」で日本の未来を議論したと言う。議論のテーマは、「人口減少」「真のグローバル化」「イノベーションの創出」。事務局の一人で、横田アソシエイツ代表取締役 横田浩一氏の「あとがき」によれば、秘書も部下も会議の部屋には入らず、参加者が半日かけて本音で議論を展開。ヒートアップのあまり、『あんた! 本当にそう思うのか』という言葉さえ飛び交ったそうだ。もしその白熱の議論を「そのまま」読むことができたらと思うものの、内容は外に出さないことが条件だったため、残念ながらリーダーたちの生の言葉は記されていない。

 内容は、「2050年の日本に向けて」「企業のリスクマネジメント」「ASEANにおける事業展開」の3部構成で、参加者企業の2050年を目指した取り組みのケーススタディが掲載されている。例えば、日本全国に設置された約6000万個のセンサーやカメラから得たビッグデータを活用し、37の新サービスの開発に取り組み、異業種企業や監査機関などとのコンソーシアム結成を計画中のセコム。同社はスポーツイベントだけでなく、超高齢社会や不法滞在者の増加、防災といった変化に対応する「安心・安全」をどう守るかを模索している。あるいは、「企業のリスクマネジメント」の章で紹介されているエイチ・アイ・エスのハウステンボス再建。同社は開業以来18年赤字が続いていたテーマパークをわずか1年で黒字化を実現した。それを可能にしたのは、モナコと同じ面積のある“広大な敷地”というリスクを利点と捉え、イベント力の強化、インバウンド需要の取り込み、研究機関との連携で敷地を最先端技術の実験の場として用いるなどの再建策にスピーディに取り組み、負の条件を克服したからだ。

 日本は今のままの出生率が続けば、100年後に人口が現在の約7割、200年後に1割程度になると予測されている。大手企業のリーダーであれば、国内需要の減少と増税で若者の未来を奪いたくないと真剣に考えているはずだ。もし続編が発行されるなら、CEOたちがそれに対してどう対処しようとしているのか、「自身の言葉」で語ったものを掲載して欲しいと切に望む。ちなみに、早稲田会議に参加したメンバーは以下の通りである。

日立製作所(川村隆)、阪急阪神ホールディングス(角和夫)、ボストン コンサルティング グループ(御立尚資)、LIXIL(藤森義明)、早稲田大学ビジネススクール(根来龍之)、セコム(前田修司)、ヤマトホールディングス(木川眞)、岩田彰一郎(アスクル)、静岡銀行(中西勝則)、岩本敏男(NTTデータ)、第一生命保険(渡邉光一郎)、エイチ・アイ・エス(澤田秀雄)、日本総合研究所(翁百合)、清水建設(宮本洋一)、早稲田大学ビジネススクール(遠藤功)、東京海上日動火災保険(永野毅)、キューピー(宮本峰三郎)、カルビー(松本晃)、ユニ・チャーム(高原豪久)、三菱重工業(大宮英明)、大滝令嗣(早稲田大学ビジネススクール)、内永ゆか子(NPO法人J-Win)、東日本旅客鉄道(富田哲郎)、ネスレ日本(高岡浩三)
『早稲田会議 2050年、日本と日本企業が目指す道』(内田和成 著/東洋経済新報社)

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