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資本の世界史 資本主義はなぜ危機に陥ってばかりいるのか

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『資本の世界史 資本主義はなぜ危機に陥ってばかりいるのか』(ウルリケ・ヘルマン著、猪股和夫 翻訳/太田出版)

 著者はドイツ気鋭の経済ジャーナリスト。元銀行員だけあって、EU内における優等生ドイツ経済の舵取りに関しては舌鋒が鋭い。ギリシャの経済危機におけるドイツの対応が厳しかったのは、ドイツ人の謹厳実直な節約志向がもたらしたもの、といったお家事情もわかる。通読した印象は、「資本主義」という言葉から想像する堅苦しいものではなく、ローマ時代から現代までの市場経済や貨幣経済、金融危機までを鳥瞰図的に描いた経済史だということ。その複雑怪奇な生き物としての経済を、ケインズを引用しながら分かりやすく解説している。

 本書は4部構成である。第一部が「資本の興隆」。資本主義が18世紀にイギリスの片田舎で偶然に生まれた、といったエピソードは興味深い。第二部、「資本に関する3つの誤り」では、「資本主義と市場経済の違い」を説き、「グローバリーゼーション」は、今始まったことではなくアレクサンダー大王やヴァイキングなど、起源は古いという。第三部、「資本vsお金」では、お金の歴史は人類と同じくらい長く、人類の最も古い記録文書は借入契約や借金の証文だと説明している。

 最も示唆に富んでいるのが第四部、「資本の危機」である。1929年の世界恐慌以後、いったいどれくらい資本主義の終焉を思わせる事態が起きてきたか、それはなぜかが熱く語られる。資本主義は、成長を基盤としている。しかし永遠の成長などはあり得ない。さて、それではそれに代わるどのような新しいシステムが出現するのか? その未来を論議するためにも、本書は一読に値する。
『資本の世界史 資本主義はなぜ危機に陥ってばかりいるのか』(ウルリケ・ヘルマン著、猪股和夫 翻訳/太田出版)

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