経営・ビジネスの課題解決メディア「経営プロ」

経営者のあの一言

第28回  「(悪評は)短期の問題なので、いずれ時間が解決すると思っています。」ワタミ創業者・参議院議員 渡邉美樹

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ワタミが苦境に陥っている。2014年度は128億円の最終損失を計上し、2期連続の赤字に。2015年度は4~6月は売上高約345億円(前年同時期は約395億円)、約15億円の赤字となっている(前年同時期は約10億円の赤字)。

主力の居酒屋事業で店舗の撤退(4月以降26店舗撤退)が相次いでいることに加えて、これまで収益を上げていた介護事業の採算も悪化している。
自己資本比率も6.2%まで低下しており、危険水域に達しているとされる。そうした中で介護事業の売却のうわさまで出ている状況だ。

ワタミの創業者である渡邉美樹氏が、初めて政治の世界に登場したのは、2011年の東京都知事選挙への立候補だった。当時から2008年に女性従業員が入社2か月後に自殺した問題が大きく取り沙汰され、渡邉氏の発言を巡って批判が集中した。結果にどの程度影響したかわからないが、3位に落選した。

しかし、2013年には参議院議員選挙の比例区の自由民主党公認候補として立候補し、当選を果たしている。しかし、選挙活動中から続いたバッシングは、日頃の社員へのメッセージなども取り上げられ、日本中に拡散していった。

当選後、2013年12月のPRESIDENTの記事で、渡邉氏が田原総一朗氏とエコノミスト吉崎達彦氏のインタビューに答えて発した言葉が以下の通り。

(田原氏の「なぜ叩かれるのか」と聞かれたことに対して)
渡邉氏:「僕は経営者時代も、いまの自民党でも、つねに正論しか言いません。それが気に入らない人がいるんじゃないですか。」

(業績への影響を聞かれ)
渡邉氏:「焦っても仕方がない。先ほど言ったように短期の問題なので、いずれ時間が解決すると思っています。」

渡邉氏の思惑ははずれ、短期間の時間が解決はしなかったようだ。
逆に、こうした強気の言動が問題を長引かせているとも言える。

ワタミの経営から外れたとはいえ、株式の約25%を保有する大株主である渡邉氏に対して、世間の目から両者は一体として見られている。

渡邉氏が正論と言っている、たとえば当時の社内文書の理念集にある「365日24時間死ぬまで働け」という言葉(現在は削除)。背景も考えずこの言葉だけを取り出して批判するのは「おろかだ」と、同氏は先のインタビューで述べている。

しかし、その言葉の背景も含めて批判されているとしたらどうだろう。
たとえば東芝に事業再建で乗り込んだ土光敏夫氏は、社員に3倍働けと言った。この言葉だけ取り出して批判するのはフェアではないだろう。しかし、この言葉で土光氏が批判されることはなかった。

経営者、創業者の言葉は重い。自らの言葉への批判を謙虚に受け止めない限り、負の連鎖を断ち切れず、時間が解決してくれる問題にはならないかもしれない。

お気に入りに登録

プロフィール

 経営プロ編集部

経営プロ編集部

経営者・事業部門責任者から部長・課長・リーダー層まで、経営の根幹を支える人たちの成長を支援するパートナーメディアを目指します。日々の業務に役立つニュースや小ネタ、組織強化や経営理論まで幅広く学べる記事を提供します。

関連記事

会員登録 / ログイン

会員登録すると会員限定機能や各種特典がご利用いただけます。 新規会員登録

会員ログインの方はこちら