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第294回  「僕らがもっと素晴らしいゲームをと頑張った結果、時間やエネルギーをゲームに割けない人たちが「もういいや」と、静かに立ち去っていったのです。」任天堂 元代表取締役社長 岩田聡

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 岩田氏は、1959年、北海道札幌市生まれ。東京工業大学工学部情報工学科在学中にゲームソフトやゲーム制作システムなどの開発を行うHAL研究所の設立に関わり、大学卒業後は社員に。1993年に代表取締役社長に就任する。2000年、任天堂の社長・山内博氏に経営手腕を買われ、任天堂に転職。わずか2年後に、同じく山内氏の指名により代表取締役社長に就任した。

 ファミリーコンピュータによりテレビゲーム業界をリードする存在だった任天堂だが、次第に陰りが見え始めていた。それどころか岩田氏が社長に就任した頃にはゲーム業界全体の勢いがなくなっていた。ゲームをしない人が増えたのだ。

 なぜゲーム離れが進行したのか ── 、それを分析したのが掲出の言葉。ゲーム機の性能が上がるにつれ、高精細なグラフィックスが可能になり、複雑なシステムや膨大なストーリーのゲームが作れるようになった。ところが、そういう部分に力を入れた結果、ゲームはマニアのものになってしまったのだ。

 岩田氏は開発方針を転換し幅広い世代が楽しめるゲーム機やソフトの開発に力を入れた。その結果、「静かに去っていった」ファンが戻り、ゲームに興味のなかった人たちも取り込むことに成功した。企業はライバルとの競争に必死になるあまり、顧客が何を求めているか見失うことがある。高性能な製品や、高度なサービスが求められているとは限らない。商品の本質が何か、常に見直すことが大切だ。

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経営者・事業部門責任者から部長・課長・リーダー層まで、経営の根幹を支える人たちの成長を支援するパートナーメディアを目指します。日々の業務に役立つニュースや小ネタ、組織強化や経営理論まで幅広く学べる記事を提供します。

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