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第249回  「企業の在り方の中で、官僚主義ほど発展を害するものはない。」クラレ 元社長 大原総一郎

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 大原氏は、1909年、岡山県生まれ。父親は倉敷紡績などの社長を務めた大原孫三郎氏。孫三郎氏は大原美術館、大原社会問題研究所などを設立して社会貢献活動にも熱心だった人物だ。

 東京帝国大学を卒業後、父・孫三郎氏が経営する倉敷絹織(現・クラレ)に入社。30歳の若さで二代目社長に就任する。その後、世界初の新繊維ビニロンの開発に成功、同社を世界的な企業へと育て上げた。

 ビニロンの開発には次のような逸話が残っている。工業化には巨額の資金が必要で、最初はどこの銀行も融資をしてくれなかった。そこで大原氏は日銀総裁の一万田尚登氏に直訴。「一企業の利益のためにやるのではありません。日本の繊維業界のための大切な布石として始めるのです。そればかりでなく、戦争に負けて自信を失っている日本人の心を奮いたたせるためにも、純国産の合成繊維の工業化は何としても成功させなければならない」と説いた。その私心のない熱意に打たれた一万田氏が音頭を取り15もの銀行から協調融資を受け、ビニロンの工業化に成功したのだった。

 この逸話からもわかるように大原氏は清廉な人物だった。戦後GHQによる公職追放が行われた時も、対象外だったにも関わらず、「国家が誤謬を犯し裁かれようとする時、これに協力した個人として、その裁きから逃れようとは思わない」と自ら裁きを受けようとしたという。その大原氏が最も嫌っていたのが官僚主義。官僚主義の弊害の大きなものは責任の所在が曖昧になることだ。責任の所在が曖昧な組織は必ず腐敗する。リーダーとしては注意したいものだ。

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