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「経営幹部」育成の教科書

第5回:部下の「自己肯定感」と「自己効力感」を高める幹部・上司のマネジメント力の伸ばし方

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「自己肯定感」が高く、「自己効力感」が低い部下の落とし穴

「自己肯定感」と「自己効力感」のどちらも高い部下は、自分をしっかり持っており、自信を持って行動し、失敗を過度に恐れることがない人です。
当然のことながら、「自己肯定感」と「自己効力感」の双方が高い人は、“将来有望”と見られやすいですし、実際にそうであるケースが多いでしょう。
新卒採用で体育会出身の学生が好まれるのは、在学中に体育会系の厳しい部活動を頑張り、「苦しい練習を乗り越えた」、「試合に勝った」などという達成体験や、部の仲間たちと励まし合いながら努力するといった経験を経て、「自己肯定感」と「自己効力感」の双方を高めていることが多いからです。

ここで少し留意したいのが、「自己肯定感」が高くて「自己効力感」が低い部下です。
このタイプは、「できない自分」を分かったうえで、そんな自分を認めており、自分の存在には価値があると思っています。しかし、体験に基づく自信がないため、上司に指示されてもよほどの必要に迫られなければ「やらないでおこう」と考えるのです。
「それでもいいのだ」と言われてしまっては、会社としても困りますし、当人にとっても決して良いことではありません。本人との話し合いで目標を具体的に決め、しっかり完遂することを求めましょう。「できませんでした」で済まさせない上司の関与が、本人の将来を救います。

このように、ときに部下の「自己肯定感」の高さは、「現状に甘んじる」、「目標を追わない」といった心理にも通じるため要注意です。そして、社長や幹部の皆さんの立場からすると、部下の「自己効力感」を重視したいところです。(ちなみに「自己肯定感」が低く「自己効力感」が高いということは、基本的にはありませんので割愛します。「自己肯定感」も「自己効力感」も低い人は……まずは少しずつでも成功体験を積ませてあげてください。)

「自己効力感の高め方」は先にご紹介した通りですが、「自己効力感」の問題点は、「自己肯定感」に比べると短期で大きく下がってしまうことがあるということです。
「自己効力感」は、自らの失敗体験や厳しい状況を目の当たりにすることで下がっていきます。「自分の行動が失敗だった」と思ったり、評価が悪かったことで自信を失ったりするケースですね。

大前提として、部下たちの「自己肯定感」と「自己効力感」が高いことは、日々の業務に意欲的、かつ積極的に取り組むための原動力となります。
ただし、あえて言えば、この2つはあくまでも「当人がそう思っている」という心理状態であり、実際の行動結果とは必ずしも連動しているわけではない(「本人が『やれる』と思っていても、実際にはできない」など)ということには、くれぐれも留意して仕事を任せていきましょう。

社長の皆さんは、自社の幹部各位に「自己肯定感」と「自己効力感」の2つの違い、および意味合いをしっかり理解させ、部下たちの「自己肯定感」「自己効力感」に対して適切なアプローチを行えるような体制を作りましょう。まずは理論的なところから幹部教育を図ることが、企業の組織活性度・現場力を底上げするために効果的です。

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プロフィール

株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上 和幸 氏

株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上 和幸 氏

1989年早稲田大学政治経済学部卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)など著書多数。

URL:経営者JP

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