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『現場力』を活かす組織のつくり方~“人財を活かす”経営変革フォーラム Vol.3

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 先行きが予測できない時代の中で、企業には今『現場力』が求められています。どんなに優秀な経営者がいても、『現場力』が弱ければ生き残ることはできません。『現場力』とは果たして何か。なぜ競争力があがるのか。いかに『現場力』を身につけて、それを最大限に活かすことができるか。そのヒントを遠藤氏に具体的な事例を交えてお話しいただきました。

なぜ今、『現場力』が求められるのか

 私は製造業出身ですので、ものづくりの会社を想定して2004年に『現場力を鍛える』という本を出版しました。最近日本ではものづくりの劣化が危惧されています。日本の製造業も、もう一度『現場力』を鍛え直さないといけないと思うのですが、ここ10年を見ると、実は『現場力』という考え方は、決して製造業だけでなく、サービス業、小売業、金融業などさまざまな業界に広がってきています。これは何を意味するのか。業界に関わらず、日本企業というのは現場が支えています。その現場で働く人たちの集合としての力が『現場力』です。こうした底力を再建しなければ、日本企業は生き残れないでしょう。今まで以上に、多くの企業が『現場力』の重要性を感じ始められていると思います。
 そして昨今、良い『現場力』のお手本は、製造業よりも他の業界に多く見られるようになってきました。例えば、地域に根差したローカルスーパーの中には、とても良い経営をしている企業が少なくありません。埼玉のヤオコーや東京のオオゼキ、新潟の原信など、いずれも優れた『現場力』をベースに、非常に魅力的な店づくりを展開し、収益を上げています。今まさに『現場力』がある企業こそ、成長しているのです。どうしたら需要を掘り起こせるのか。どうしたら新たな市場を作れるのか。それを一番よくわかっているのが現場なのです。お客様に一番近い現場。日々競争にさらされている現場。変化を目の前で見ている現場。彼らこそ、今何をしたらいいのかを理解しています。

VUCAの時代に生き残るために

 『現場力』の重要性は、日本だけに限ったことではありません。世界的にも似たようなことは言われています。今欧米で盛んに使われている言葉、VUCA。Volatility(不安定)、 Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧模糊)…の頭文字を取った言葉ですが、今私たちを取り巻く環境は、まさにVUCAです。何が起こるかわからない、予測不能な乱気流が常態化している中で経営をしていかなければなりません。では乱気流のときに、誰が一番正しい舵取りができるのか。これは航空会社の社長でもなければ、空港の管制官でもありません。一番大事なのは現場のパイロットなのです。つまり彼らのような最前線にいる人間を重視して、最前線の能力を高め、最前線のモチベーションを上げている企業こそが今、成長しています。
VUCAの時代を生き残る唯一の方法があります。未来が読めないのなら、未来を自らの手でつくること。答えがないのなら、答えを自らつくること。要は環境を見て、その環境に合わせようとするのではなく、自分たちがどうありたいかを描くことが重要なのです。しかもそれは社長だけが担うのではなく、一番状況を理解している現場の意見やアイデアを吸い上げて、それを答えにしていかなくてはなりません。
果たして現在は、「終焉」か、それとも「入り口」なのか。過去の成長曲線はほとんど役に立ちません。そういう意味では、成長曲線は「終焉」です。しかし同時に私たちは、次の50年の新たな成長曲線をつくっていかなくてはなりません。つまり現在は、次の新しい時代の「入り口」でもあるのです。
私は、会社は2つのタイプしかないと思っています。「生きている会社」(alive)か、「死んでいる会社」(dead)か。目の前の業績は好調でも、いざ現場に足を運んでみると、「この会社には未来がないな」、「現場が死んでいるな」と感じる企業は少なくありません。一方、今は業績が苦しくても、いざ現場に足を運んでみると、社員がみなイキイキと働いている会社もあります。こういう会社は必ず勝ち残っていくでしょう。

赤城乳業が成功している理由とは?遠藤氏の考える「生きている会社」(alive)か、「死んでいる会社」(dead)とは?レポートはまだまだ続きます!

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