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クオリティフォーラム2017 登壇者インタビュー 共生型ものづくり社会「Factory of the Future」を目指す~日立流IoTの実践~日立製作所 IoT推進本部 担当本部長の堀水修氏に聞く(後編)

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■IoTの活用に明確なゴールはない

――社内の業務改善用途ではなく、ビジネスとしてのIoTをどう展開していきますか。

堀水:率直に申し上げて、すべての会社をサポートできるとは考えていません。むしろ、ある程度やり方を教えて、日本のものづくりそのものを底上げしたいという思いが強いですね。IoTの活用に明確なゴールはないからです。

 技術が日々進歩する一方で、業務課題も変わっていきます。ですから、良いと思ったらすぐに着手する心構えが大切です。何をやるのかを決めて、それが解決できるかどうかを考える。1人の手に余るなら関係部署と議論してみんなでソリューションを探る。要は初めの一歩。スタートは投資も規模もスモールでいいのです。IoTビジネスの真髄はむやみやたらにデータを集め、センサーのお化けにすることではありません。

―― スモールビジネスを成功に導く秘訣は。

堀水:IoTに関わることでこれまで付き合いのなかった業種同士や業務同士、部門同士で一緒にワークショップを作ると脳が活性化されます。共通の旗の下に同じ課題認識やソリューションをもつ人が一つのテーブルについて議論し検証する。

 それとスピード。理想的には3カ月サイクルです。いいと思ったことはやろうという改革が最も拡散しやすいし、つながりやすいと思います。大切なことなので繰り返せば、成功に導く早道は、スピードとやる気とためらわない心です。

■お客様と協創のソリューションを組む

――これまでの取り組みを振り返って、IoTを巡る欧米との距離感をどうみますか。

堀水:IoTのTはThingですが、当社の現場には設備やスタッフという形でリアルなTがたくさんあります。ところが欧米のIT会社は大企業でもTを持っていない。Tを持っていないと何が違うのか。簡単なことですが、実際の困り事や本質的な課題を訴求しにくいのです。だから、道具はあるが、それをどう使えばいいのかが分からない。

 その点、当社は自分たちでITを使い、プラットフォームを用意した上でさまざまな提案をしてお客様と協創のソリューションを組み上げることができます。これこそが、欧米系に対する勝負の掛けどころだと思います。

――貴社のIoTシステムをより有効に活用するためのキーワードは。

堀水:担当者だけのスコープだけで進めるなということです。何事も1人でできることには限界があるからです。重要なのは全体最適を目指して、今までつながらなかった業種や部門、企業などとつながりにいこうという姿勢です。そういう志をみんなが持つこと。持つためにはビジョンが必要です。

 目指すものやことが同じであれば、まとまった束になれる。そういうことがうまくいくかどうかが結果になる。これまでの一連の活動でいえば、課題は現場からボトムアップで出てくるが、一緒にやれという指示はトップダウン。いずれかに偏るのではなく、両方からやらないと決してうまくいきません。
■ものづくりの知見を他産業にも生かす

■ものづくりの知見を他産業にも生かす

――社内外を問わず、IoTに関わる今後の課題はなんだと思いますか。

堀水:日本にはものづくりを重視する良いトレンドがあります。しかし、そこにだけ捉われるとIoTの活用やビジネスを読み違える恐れがある。自社都合の市場や利益を考えるのではなく、お客様や社会に新たな価値を提供するという枠組みで臨まないと。

 考えてみると、原価や情報収集に一番真面目に取り組んでいるのはものづくりの分野です。そこで得られた知見は産業をまたいでさまざまなところで使えるのではないか。それは国策(Society5.0)でもあります。そしてメーカーの現場としてさらなる高みを目指す。それが今後の課題です。

――そうした課題を通じて貴社が目指す道筋は。

堀水:IoTの利点を駆使して作業者の行動や日々の業務、現場の情報をデータ化する。それを踏まえて工場や企業が生産情報を共有し、生産に関わるリソースを相互融通する共生型ものづくり社会「Factory of the Future」を1日も早く実現したいですね。

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プロフィール

株式会社日立製作所 IoT推進本部 担当本部長 堀水 修 氏

株式会社日立製作所 IoT推進本部 担当本部長 堀水 修 氏

1988年 日立製作所入社。本社生産技術部配属。1992年 カーネギーメロン大学 ロボティクスインスティテュート 客員研究員。2005年 日立中国有限公司 モノづくり技術センタ センタ長、2013年(株)日立製作所Smart Transformation強化本部 サブプロジェクトリーダ、2014年モノづくり戦略本部 担当本部長、2017年から現職。

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