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経営と人事~何故人は働くのか~

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経営とは組織をどう動かすか。人事こそ経営の原点

経営とは組織をどう動かすか。人事こそ経営の原点

 経営というと、先を読む、決断する、実行する、こういうことが経営だとよく言われます。確かに大事な要素ですが、経営というのは「組織をどう動かすか」です。頭の中にいくら立派なものがあっても、組織が動かなければ「経営」とは言わないと思います。
 組織を動かすというのは、組織の人材を最大限に活用することで、そのためには、どうすれば社員にいきいきと働いてもらえるか、日々考え、実践していくしかありません。そういう意味で、私は経営の原点は人事だと思っています。
 次に、人事は、人のことを知る、人のことについて考えるということを貫かなければならないのだと思います。そのためにはまず、原点として人間にはどんな特性があるのだろうかと考えることが、非常に大事であるような気がします。
 そこで考えてみたいのが、「なぜ人は働くのか」ということです。誰でもまず「お金のため」という答えが浮かぶと思います。古来、人間は飢えないために生産活動を行ってきたわけですから、正しい答えです。でも、働く理由が食べるためだとしたら、食べるのに不足がなくなれば働かなくていいとなるのが道理ですが、そうでしょうか。
 日本理化学工業という、障がい者の方を多く雇用されているチョークのメーカーがあります。経営者である大山泰弘会長は、養護学校教師の「働く経験を生徒にさせたい」という熱心な願いを受けて、障がい者の雇用を行ったのですが、障がい者ですから、働かずに施設で暮らすこともできるのに、彼らがなぜ毎日会社に来て一生懸命働くのか、どうしてもわからなかったそうです。そこで、あるとき、禅宗のお坊さんに問うてみると、「人間の喜びというのは4つに尽きる。『人に愛されること、人にほめられること、人から必要とされること、人の役に立つこと。』愛されること以外の3つは仕事をして得られるものなのですよ」という答えが返ってきたそうです。
 確かに、私も社員と話すと、「あなたがいて助かったよ」といった言葉に支えられて仕事をしている人は実に多いと感じます。このあたりに事の本質があるような気がしてなりません。
組織全体の力を極大化するために「見守る」「認める」ことが必要

組織全体の力を極大化するために「見守る」「認める」ことが必要

 人がいきいきと働くためにはどうすればいいかというと、制度や仕組みを整備するだけではだめだと思います。人事の制度や仕組みは往々にして、できる人のために作られた制度であり、できる人のインセンティブになるということを主に考えがちですが、経営のテーマは組織全体の力を極大化することです。むしろ、できない人に焦点を当てた運営がなされないと実現できません。そのためには、きちんと見守ること、あるいは認めることがマネジメントにビルトインされていないと、どんな制度や仕組みをつくってもなかなか有効に機能しないと思います。
 たとえば、会社の中の人事評価にはどうしても相対評価の要素が出てきます。情のある管理者は、Aさんもいい、BさんもCさんもいいと言いたがりますが、これではAさんもBさんもCさんも変わらないと言っているのと同じです。大事なのは、Aさんのここはいいが、ここはやや見劣りする、一段の努力が必要だといったことを表現できるかどうか。つまり、社員一人一人の特性を見極めることです。そして、そのために必要なのは、見守ることと、認めることです。
 どんな人に対しても、ほめる、しかるという動作でインタラクティブにやりとりしながら、見守り、認めていく。こういう動きが埋め込まれた組織では、できる人もそうでない人も含め、トータルとしていろいろな人がいきいきと働けます。それが組織の力を高めることにつながると考えています。

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