
働き方改革をいかに生産性向上に結び付けていくか――。その答えを導き出すためには、まずは自社の生産性向上につながるキー・ファクターを特定することが不可欠です。産業能率大学総合研究所とHR総研では、いくつかの仮説を立てて、企業の働き方の実態調査を行いました。その結果から導き出された、生産性向上につながるヒントを解説いたします。
働き方改革の現状について
まずは、働き方改革のこれまでの動きについて確認しましょう。2016年9月、安倍総理私的諮問機関として、働き方改革実現会議が設置されました。その目的は、多様な働き方を可能にするとともに、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現させるというもので、長時間労働の是正、正規・非正規の格差是正(同一労働同一賃金)、多様な人材(外国人、高齢者、女性等)の活躍を可能にする環境、制度の整備などが含まれます。なかでも、長時間労働の是正への取り組みが先行して進み、罰則付き時間外労働の上限規制において労使が合意にいたっています。しかし労働時間が短くなると生産総量が落ち、賃金が高くなると企業収益を圧迫するため、時間当たりの労働生産性が高まらないと日本企業の競争力は落ちてしまうことになります。
そこで2017年9月、安倍総理は所信表明にて、働き方改革 第2章とも言うべき、生産性革命と人づくり革命を進めることを明らかにしました。
生産性革命については、2020年度までの3年間を、“生産性革命集中投資期間”と位置づけ、中小、小規模事業も含め、企業による設備や人材への投資を力強く促す意向を表明。「生産性革命」実現のために、大胆な税制・予算・規制改革等を進めるとしています。
一方の人づくり革命については、国民が幅広く質の高い教育を受けやすくすることで、個々人の能力を高める取り組みであるとし、教育の無償化、リカレント教育の充実、大学改革、人材採用の多様化、全世代型社会保障への改革などを推進するとしています。
そこで2017年9月、安倍総理は所信表明にて、働き方改革 第2章とも言うべき、生産性革命と人づくり革命を進めることを明らかにしました。
生産性革命については、2020年度までの3年間を、“生産性革命集中投資期間”と位置づけ、中小、小規模事業も含め、企業による設備や人材への投資を力強く促す意向を表明。「生産性革命」実現のために、大胆な税制・予算・規制改革等を進めるとしています。
一方の人づくり革命については、国民が幅広く質の高い教育を受けやすくすることで、個々人の能力を高める取り組みであるとし、教育の無償化、リカレント教育の充実、大学改革、人材採用の多様化、全世代型社会保障への改革などを推進するとしています。
生産性向上につながるキー・ファクター
働き方改革を、どのように生産性向上に結び付けていくか、これが最大のテーマですが、ここには唯一の正解はなく、多くの企業が自社の生産性向上を実現するための働き方改革のKPI(key performance indicator の略。目標達成度を評価するための主要評価指標)を定められていないのが現状です。他社で成果を上げている事例をそのまま自社に導入しても、まるで逆効果になることが少なくありません。自社の生産性向上につながるキー・ファクターが何かを探ることなく、闇雲に働き方改革の施策に走ることはリスクを伴うでしょう。 働き方改革は、百社百様です。であるなら、個々の企業にとって生産性向上につながるキー・ファクターとの関係性を突き止める調査をできないかということで、以下の問題意識にもとづいて仮説を設定しました。
第一の問題意識は、「働き方と経営成果との関係を示すことはできないだろうか」というものです。これに対しては、「社員がメリハリのある働き方をしている企業は、事業業績の向上やイノベーションが起きている」という仮説を立てました。
続いて第二の問題意識は、「長時間労働を引き起こすメカニズムを明らかにする必要があるのではないか」というものです。これに対しては、「メリハリのある働き方ができている企業と、できていない企業とでは、事業の特性や組織の状況が異なる」という仮説を立てました。
そして第三の問題意識は、「働き方改革であげられる“同一労働同一賃金”“多様な働き方の選択”を、長期雇用を前提とする従来の人的資源ポリシーのもとで実現するのは難しいのではないか」というものです。これに対しては、「長時間労働の見直しや柔軟な働き方が実現できている企業では、これまでと異なる人的資源ポリシーが採用されている」という仮説を立てました。これらの問題意識と仮説のもと、産業能率大学総合研究所とHR総研で働き方に関する実態調査を行いました。調査内容は、事業(競争優位性、事業プロセス)、組織(組織風土、人的資源ポリシー・施策、職場マネジメント)、個人(仕事・業務、社員の意識・能力)、結果(働き方、経営成果)となっています。
第一の問題意識は、「働き方と経営成果との関係を示すことはできないだろうか」というものです。これに対しては、「社員がメリハリのある働き方をしている企業は、事業業績の向上やイノベーションが起きている」という仮説を立てました。
続いて第二の問題意識は、「長時間労働を引き起こすメカニズムを明らかにする必要があるのではないか」というものです。これに対しては、「メリハリのある働き方ができている企業と、できていない企業とでは、事業の特性や組織の状況が異なる」という仮説を立てました。
そして第三の問題意識は、「働き方改革であげられる“同一労働同一賃金”“多様な働き方の選択”を、長期雇用を前提とする従来の人的資源ポリシーのもとで実現するのは難しいのではないか」というものです。これに対しては、「長時間労働の見直しや柔軟な働き方が実現できている企業では、これまでと異なる人的資源ポリシーが採用されている」という仮説を立てました。これらの問題意識と仮説のもと、産業能率大学総合研究所とHR総研で働き方に関する実態調査を行いました。調査内容は、事業(競争優位性、事業プロセス)、組織(組織風土、人的資源ポリシー・施策、職場マネジメント)、個人(仕事・業務、社員の意識・能力)、結果(働き方、経営成果)となっています。
企業の働き方の実態調査から導き出された、「長時間労働・休日出勤を抑制できている企業」の特徴とは?レポートはまだまだ続きます!
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