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持続的成長への挑戦(4/4)

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リーダーシップと風土がなければ変革への仕掛けは動かない

リーダーシップと風土がなければ変革への仕掛けは動かない

連鎖と仕掛けをつくるにあたり、最終的に大事なのはリーダーシップと風土です。仕掛けをつくっても、リーダーシップと風土の素地がないと組織は変わりません。自己変革をもたらすリーダーシップの特徴には3つあります。1つ目は10年先と今を併せ見ること。日本のリーダーが考えるのは、自分の任期の3年間など短い期間であり、10年先まで見ているリーダーは多くありません。グローバルな企業との競争を考える上でこれは欠点です。2つ目は変化のリスクを負ってもブレないことです。保守的なメンタリティではなく、変わりたいというマインドセットを持ちます。
世界的なグローバル企業であるGEの日本社長の熊谷昭彦氏は「変わるための“ 小さな勇気”が大事」と言います。変わるのはリスクがあり、怖いことですが、変わるための“小さな勇気”が湧く環境を整えて、それを出した人を称えることが大事と仰います。リスクを取れるカルチャーのリーダーが持続的な成長には必要なのです。3つ目の特徴は、気付きを与える対話ができることです。日本GEの熊谷社長は「リーダーシップとは人の心を動かすことだ」と言います。短期的にトップダウンで指示を出すのではなく、大きな組織のカルチャーを変化させるためには、対話し、本気で、時間とエネルギーをかけなければいけません。時間はかかりますが一度心が動くと長持ちします。

風土をつくるには5段階あります。1段階目で、共通の価値観を持ちます。2段階目に立場を超えて同じことが言えるようにします。3段階目に暗黙だが当然の行動になるようにします。4段階目に制度や行動ルールとして仕組み作りをします。5段階目はこれらが日常生活のサイクルに織り込まれるようにします。風土は価値観、と言われますが、暗黙の前提が風土の根幹にあります。変われる会社は、変わるべきところが織り込まれ、風土になることで、これが組織の学習能力となり、組織を変える力になります。風土をつくるのは時間がかかりますが、これらを実行すれば、変革できる風土になれます。

このように、自己変革を続ける企業には3つの連鎖の仕組みとリーダーシップ、そして風土があり、それゆえに持続的な成長となるのです。


〔経営プロサミット2015 6/5講演「持続的成長への挑戦~組織の自己変革力をもたらす「3つの連鎖」~」より〕

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プロフィール

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社<Br>パートナー Strategy&Operationsリーダー<Br>中央大学ビジネススクール大学院戦略研究科 客員教授<Br> 松江 英夫 氏

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
パートナー Strategy&Operationsリーダー
中央大学ビジネススクール大学院戦略研究科 客員教授
松江 英夫 氏

「経営変革」に関わる戦略・組織領域のテーマ(成長戦略、M&A、経営統合、イノベーション、グローバル組織再編)などを多数展開。主な著書に今回の講演をテーマを事例やインタビューとともに掘り下げた新著『自己変革の経営戦略 - 成長を持続させる3つの連鎖』のほか『クロスボーダーM&A成功戦略』『ポストM&A 成功戦略』(ダイヤモンド社)、『経営統合戦略マネジメント』(日本能率協会マネジメントセンター)など。中央大学ビジネススクール大学院戦略研究科 客員教授。事業構想大学院大学 客員教授。

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