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逆境からの再生 -イノベーションのジレンマを超えて-(3/5)

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レガシーコスト圧縮とBtoCの全売却により再上場を果たす

レガシーコスト圧縮とBtoCの全売却により再上場を果たす

チャプターイレブン下にある本社でも、もちろんたくさんのことをやりました。3つの大きなフェーズにまとめると、チャプターイレブンに入ってすぐが最初のフェーズで、事業を継続するための手続きを行いました。第2のフェーズはチャプターイレブンから抜けた後に、どのようなビジネスをやるのか、裁判所に提出する再建計画をつくりました。第3のフェーズは計画と融資の承認になります。これで裁判所に計画を認めてもらい、財務的なバックアップを確保できます。

流動性を高めたり、特許を現金化したり、レガシーコストを圧縮したり、集中させる新規事業を考えるなど、色々なことをやりました。主なトピックを挙げると、デジタルカメラからの撤退を表明しました。コダックギャラリーなど様々なコンテンツ資産を売却しました。タイムズスクエアの広告、PGAツアーのスポンサーシップ、コダックシアターの権利を次々に処分しました。コンシューマーのビジネスそのものの売却です。
特許を売却したのは大きなイベントでした。コダックはスマートフォンの画像処理の基本特許を持っていましたが、これらを売却したのです。実は、チャプターイレブンに入る前に売っていれば、少なくとも3,000億円で売れたはずでした。しかし以降に売ったので、買いたい企業が企業連合を組んでしまい、わずか500億円程度で売却となりました。私見ですが画像処理の特許売却については、もったいないことをしたと思っています。買ったのは、グーグルやアップルなど、現在スマートフォン業界で圧倒的優位に立つ会社です。彼らが使っているイメージング技術は、もともとはコダックの特許によるものが多かったのです。元々は1万件あった特許が、現在は7,000件に減りましたが、これはコンシューマーにからむ特許を売却した結果です。

19カ月に及ぶ、一連の長いストラグルでしたが、2013年9月にチャプターイレブンを脱却し、同年11月にはニューヨーク取引所にカムバックできました。新生コダックは、デッド・エクイティ・スワップにより、株式を転換し、株主の構成を変えました。コダックの株主の持っていた株券は、コダックの清算手続きにより、紙切れになってしまいました。その代り、主な債権者の方々に新しい株を持ってもらい、新しく株主になってもらいました。ミラクルな手法です。債権者の多くにコダックの将来に期待していただいたからこそ、できたことです。


〔経営プロサミット2015 6/2講演「逆境からの再生 -イノベーションのジレンマを超えて-
~コダックはいかにして苦境を乗り越え、B to CからB to Bへの転換を行ったのか。
その時、日本コダックが直面した課題とは~」より〕

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プロフィール

コダック合同会社 代表執行役員社長 藤原 浩 氏

コダック合同会社 代表執行役員社長 藤原 浩 氏

1981年、日本電子株式会社に入社。本社経営企画部配属後10年間の米国駐在を経て帰国。1995年から2006年までSAPジャパン株式会社において、代表取締役COO(最高執行責任者)兼CFO(最高財務責任者)を歴任。その間、売上20倍の急成長を支えた。2007年から株式会社フィリップス エレクトロニクス ジャパンにおいてヘルスケア部門の社長兼COOを務め、競争の激しい日本市場でビジネスの再編と成長を牽引。2011年7月、コダック株式会社 常務取締役に就任。2012年2月に米国本社Chapter11宣言と共に代表取締役社長に就任、事業再生をリードした。現コダック合同会社 代表執行役員社長。Kodak Koreaの社長を兼任。

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