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逆境からの再生 -イノベーションのジレンマを超えて-(1/5)

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チャプターイレブンでコダックの再生加速を決意

チャプターイレブンでコダックの再生加速を決意

私がコダックに入ったのは2011年ですが、この頃にはすでにコダックが「チャプターイレブン」に入ることが見えていました。チャプターイレブンというのは、日本で言うと民事再生法に似たスキームです。コダックは2006年頃から新しいトップを招へいし、フィルムの次に何をやるかについて考えていたものの、なかなか転換点が見出せませんでした。転換を一気に加速しないと燃料が切れてしまうという危機感があり、チャプターイレブンの仕組みで転換を加速することを決め、2011年1月に手続きを開始しました。

コダックは再生のスピードを加速させるために4つの方法を考えました。1つ目は、手元の流動性を強化することです。まずお金が回らないと、再生は加速させられません。2つ目は、特許の売却による知的財産の収益化です。3つ目は過去の経緯に関わるレガシーの債務の整理です。例えば「コダックシアター」など、何十年という契約期間で、毎年巨額を払い続けなければいけない契約がありましたが、これを裁判所の力を借りて整理しようと考えました。また従業員に対する債務、年金を圧縮します。コダックはアメリカでも最高レベルのベネフィットを従業員に与えていました。しかし年金を圧縮しないと、収益が上がってもオフセットされてしまいますから整理が必要です。4つ目は次の成長分野を見つける余裕を作ることです。
これら4つの目的を、チャプターイレブンで加速することにしたわけです。コダックはピーク時で1兆6,000億円の売上がありましたが、あっという間に5,000億円へと減少。現在は2,000億円強という規模です。

日本ではなじみのない言葉である「チャプターイレブン」について説明します。アメリカには「チャプターセブン」という仕組みもありますが、セブンは会社を清算する手続きです。イレブンは会社を再生する手続きで全く異なります。また、チャプターイレブンは会社が完全に破たんするということを要件としないこともポイントです。主観的に、これから危ないので早めに助けてもらいたい、というときにも利用可能な手続きです。またチャプターイレブンになると、裁判所が債務について一部支払い延長と債務免除してくれるので、再生を加速させやすくなります。また、DIPファイナンスという特別な再生融資が受けられます。アメリカでは、会社を再生するときによく使われる仕組みです。航空会社、自動車会社など、リーマンショック以降、たくさんの会社がこの仕組みを使って再生しました。ただし、コダックはリーマンショック後に救済された多く企業とは違い、政府の助けを一切借りずに再生しました。

〔経営プロサミット2015 6/2講演「逆境からの再生 -イノベーションのジレンマを超えて-
~コダックはいかにして苦境を乗り越え、B to CからB to Bへの転換を行ったのか。
その時、日本コダックが直面した課題とは~」より〕

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プロフィール

コダック合同会社 代表執行役員社長 藤原 浩 氏

コダック合同会社 代表執行役員社長 藤原 浩 氏

1981年、日本電子株式会社に入社。本社経営企画部配属後10年間の米国駐在を経て帰国。1995年から2006年までSAPジャパン株式会社において、代表取締役COO(最高執行責任者)兼CFO(最高財務責任者)を歴任。その間、売上20倍の急成長を支えた。2007年から株式会社フィリップス エレクトロニクス ジャパンにおいてヘルスケア部門の社長兼COOを務め、競争の激しい日本市場でビジネスの再編と成長を牽引。2011年7月、コダック株式会社 常務取締役に就任。2012年2月に米国本社Chapter11宣言と共に代表取締役社長に就任、事業再生をリードした。現コダック合同会社 代表執行役員社長。Kodak Koreaの社長を兼任。

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