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グローバルインテグレーションに向けた人事変革(5/5)

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必要なリーダー人材を層別化し、それぞれに応じた取り組みをする

必要なリーダー人材を層別化し、それぞれに応じた取り組みをする

人材育成においては、全ての人材が、グローバルリーダーとなることを目指す、ということにはなりませんので、グローバルリーダーの他、働く場所を問わず、地域横断的に、自らの深いスキルで仕事を担う、グローバル市場を縦横に活躍の場とするプロフェッショナル、あるいは、各国の市場に適用したサービス・製品の提供を担うローカルチャンピオンなど、求められる人材像を層別化し、個々人の適正やキャリア志向に応じた育成プログラムを実行していくことが重要です。
グローバルリーダーの育成について、私の経験からお話しします。私はグローバル環境でのビジネスにおいて、2つの、似て非なる経験をしました。1つ目は日本本社から海外拠点に駐在員として、ヨーロッパやアメリカに派遣された経験です。もう1つはアメリカ本社の会社の日本法人の一人として、本社のあるアメリカで勤務するという経験です。 どちらも、当時の私にとっては、極めてストレッチされたアサイメントで、大いなる成長機会になったのですが、どうしても、日本企業から、駐在員として海外に派遣されたときは、日本人であること自体に、すでに一定の付加価値があり、その器の中でのみ、ストレッチする業務遂行をする、という形になりました。 この経験は、若い世代には有効な育成機会となりますが、経験を積み、リーダーレベルになってからの育成においては、そうした過去からの蓄積が既定の付加価値として通用しない局面に置かれるというストレッチが有効ではないか、と私自身の経験を踏まえ、提言をしています。

グローバルリーダー育成の原点は、求められる能力を持つと人材を、選抜・育成する仕組みと、リーダーとして併せ持つべき経験を、適切なタイミングで与える仕組みの両輪を継続的に回していくことに他なりません。 自社におけるリーダーとして必要な能力の定義を行い、その能力獲得に必要な経験させるべき領域を明確化するステップで進めますが、何より重要なことは、この選抜と育成を、徹底して継続していくということです。
言うまでもなく、簡単には人材は育ちません。グローバルな環境での修羅場の経験を通じ、事業業績に明確に執着を持ち、自分の言葉で戦略を語り、リスクを取っても事業遂行することが出来るリーダーを根気強く、育成していくことが必要です。

〔経営プロサミット2015 6/4講演「グローバルインテグレーションに向けた人事変革」より〕

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プロフィール

マーサー ジャパン株式会社 代表取締役社長<Br> マーサー ファー・イースト地域代表<Br> 鴨居 達哉 氏

マーサー ジャパン株式会社 代表取締役社長
マーサー ファー・イースト地域代表
鴨居 達哉 氏

セイコーエプソン株式会社、プライスウォーターハウスクーパース株式会社、IBM ビジネスコンサルティング サービス (IBCS)、米国IBMを経て、2006年日本IBM 執行役員兼 IBMビジネスコンサルティングサービス取締役、2012年日本IBM常務執行役員に就任。 2014年8月、マーサージャパン株式会社代表取締役社長兼 Mercer Far East Market Leaderに着任。 事業会社、コンサルティング会社双方における経営の経験を有し、15年以上に亘り国内外のグローバル企業のコンサルティング、IT構築の推進に従事。 10年以上の海外業務経験を活かし、ビジネスのグローバル化に関する豊富なコンサルティング経験を持つ。 上智大学外国語学部卒。 1961年長野県生まれ。

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