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グローバルインテグレーションに向けた人事変革(3/5)

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海外進出する日本企業が取り組むべき人事領域の5つのテーマ

海外進出する日本企業が取り組むべき人事領域の5つのテーマ

グローバル化の推進における人事の主要テーマは、5つの領域に整理をして考えてみると、わかりやすくなります。 1、組織方針を明示する、2、それにより、明快な組織設計を行う、 3、組織間の調整ルールを明確にする、 また、運用面で見ると、4.透明性を持ったわかりやすい処遇をする、5.多様な人材の中での積極的な人材活用を推進する、というテーマです。
人事は、それぞれの会社で、様々な変革を進め、歴史を持って、現在の形にたどり着いており、今後の変革のテーマも、それぞれの背景を反映し、一律とはなりません。 この5つのテーマのどの領域を適用の範囲とするか、また、組織的な広がりの中で、どの深さまでその適用をするか、を事前にきちんと評価、検討をする必要があります。

ある企業は、グローバルの競争環境に対応できる優秀人材を、国籍を問わず活用することに取り組みました。 短期間で一気にグローバル化を進めるという組織方針を立て、自社のトップ層をまず国際化するという対応を進めましたが、組織間の調整のルールがあいまいで、処遇制度はローカルの対応を維持するなど、施策の一貫性を欠く結果になり、上層部と現場とのコミュニケーションのギャップが発生する結果となり、コミュニケーションコストがかさむと同時に、現場での活動のスピードが低下するという結果となりました。

一方、一層強く求められるグローバル市場への積極的な展開に対応し、5つのテーマを軸に、本格的にグローバル化取り組んでいる企業も増えています。また、海外での事業成長を推進するため、海外企業を買収し、その統合を進めている企業も増えてきています。優れたリーダーを国籍問わず活用する例も増えてきており、場所、国籍問わず人材を獲得し、そのための仕組みを明確にし、組織ルールを再設計し、グローバルで統一的で透明な評価モデルを導入した例もあります。 こうした成功例では、5つのテーマごとに、実施する施策を決め、数年間をかけて構築するロードマップを策定し、主要戦略として全社規模での取り組みとなっています。

5つのテーマに沿った変革を進める上で注意すべきこと

こうした大規模な改革を進める際、プログラムの推進そのものが目的になってしまいがちです。改めて、何を目指した改革なのか、原点に立ち返り、経営チームおよび、プログラムの推進責任チームが、共同で定期的に、以下のようなポイントで活動状況を振り返っていく必要があります。
「トップは明確にコミットしているか」
「企業の成長のための変革につながっているか」
「自社の強みを活かし、ビジネスに勝てるのか」
「最高のパフォーマンスを発揮し、グローバルで戦える人材を活用できるのか」
「ロードマップは明確か」 
「部分適用でローカライズを妥協していないか」
「社員のモラルは向上するか」

〔経営プロサミット2015 6/4講演「グローバルインテグレーションに向けた人事変革」より〕

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プロフィール

マーサー ジャパン株式会社 代表取締役社長<Br> マーサー ファー・イースト地域代表<Br> 鴨居 達哉 氏

マーサー ジャパン株式会社 代表取締役社長
マーサー ファー・イースト地域代表
鴨居 達哉 氏

セイコーエプソン株式会社、プライスウォーターハウスクーパース株式会社、IBM ビジネスコンサルティング サービス (IBCS)、米国IBMを経て、2006年日本IBM 執行役員兼 IBMビジネスコンサルティングサービス取締役、2012年日本IBM常務執行役員に就任。 2014年8月、マーサージャパン株式会社代表取締役社長兼 Mercer Far East Market Leaderに着任。 事業会社、コンサルティング会社双方における経営の経験を有し、15年以上に亘り国内外のグローバル企業のコンサルティング、IT構築の推進に従事。 10年以上の海外業務経験を活かし、ビジネスのグローバル化に関する豊富なコンサルティング経験を持つ。 上智大学外国語学部卒。 1961年長野県生まれ。

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