
グローバル人材を育成し、活用していくか、日本化した多国籍人材を重用していくか?
従来、多くの日本企業は、社員同士の輪を大事にし、その中で、共通の価値観に根ざして、安心感を持って仕事ができるという、企業コミュニティー型で組織能力を最大化する仕組みを軸にしてきました。たとえば、製造業においても、「すり合わせの効率」と言われるように、業務プロセスにしても、器用に重複するような形を取ることで、お互いを尊重して、協力し合える、共通の価値観を持つことで成り立つ効率化を図ってきました。企業統治、特に、海外子会社のガバナンスなどにおいても、日本人を派遣し、人治主義によるマネジメントが主軸になっていました。こうしたモデルは、一定の地域への展開、あるいは、日本型のモデルを輸出していくようなフェーズにおいては非常に有効なものでしたが、今は、事業展開する地域も非常に広範囲にわたり、日本モデルではなく、現地でオペレーションを回していく、一定の権限委譲をはかり、かつ、事業軸、地域軸の2軸経営の複雑さも手伝って、人治主義だけで、運営することには、限界がきています。 従来の日本型の強みを、現在のグローバル市場で、そのままに発揮することが困難になってきていると言うことも出来ると思います。
こうした環境の中での、一段、ステージの上がったグローバル化を推進するにあたっては、戦略、ルールを明確にし、現場まで浸透できるような仕組みを作り、徹底した明示知化を図る必要があります。
従来の人治主義に対して言えば、プロセスやルールを明確にしてオペレーションする法治主義に変えていくということになります。
これにり、従来型の日本人と、それ以外という分類ではなく、また、現地のメンバーでもこうした人治主義、輪の中での共通認識を持てる、日本化した現地のメンバーに依存するのではなく、国籍不問で、もっとも、それぞれの業務に適した人材を活用し、立ち上げ当初から現地化するオペレーションに変えていくことが可能になります。 一方、先にご説明したとおり、ルールやプロセスが明確になっていますので、その枠組みの中での統治は徹底して進めていくことが、もう一方の本社の影響力というバランスを維持することになります。
こうした環境の中での、一段、ステージの上がったグローバル化を推進するにあたっては、戦略、ルールを明確にし、現場まで浸透できるような仕組みを作り、徹底した明示知化を図る必要があります。
従来の人治主義に対して言えば、プロセスやルールを明確にしてオペレーションする法治主義に変えていくということになります。
これにり、従来型の日本人と、それ以外という分類ではなく、また、現地のメンバーでもこうした人治主義、輪の中での共通認識を持てる、日本化した現地のメンバーに依存するのではなく、国籍不問で、もっとも、それぞれの業務に適した人材を活用し、立ち上げ当初から現地化するオペレーションに変えていくことが可能になります。 一方、先にご説明したとおり、ルールやプロセスが明確になっていますので、その枠組みの中での統治は徹底して進めていくことが、もう一方の本社の影響力というバランスを維持することになります。
仕組みを共有化するが人材は均質化しない
一方、グローバルに管理基盤は導入したが、各ローカルでの個別運用が強く残り、仕組みやルールが形骸化し、結局、日本人駐在員に頼る状況から脱せない、あるいは、グローバルで統一的な組織運営を入れたが、様々なところで、軋轢や調整が発生し、かえって組織としての効率が低下した、という声も、グローバル人事基盤を導入した企業の中で、聞かれます。
モデルを作る、と申し上げてきましたが、形だけグローバルインテグレーションしても実際のオペレーションが、それによってうまく回るわけではない、ということです。 その運営を実際に回していく人材の質、量の確保を、重点事項として併せて検討する必要があります。“日本人”による運営には限界があることは、すでに触れましたが、広い視点で、優秀人材の獲得・維持を進めることが不可欠になります。
プロセスやオペレーションの仕組みを共通化、共有化はしても、均質化した人材のみを求めず、多様な人材の中から優秀人材を確保し、育成することがポイントです。仕組みとルールを共通化し、そこで働く人を多様化させる場合、企業としての価値観を従業員に浸透させ、組織として形成していくことは、大変に難しいテーマです。
経営トップが、強いリーダーシップを発揮し、企業理念や企業全体での価値観形成の推進を自ら行うことも必要です。一方で、そうした価値観の醸成を、現場のリーダーとメンバーが日々の活動の中でどう進めていくか、どう行動様式を変えていけるかを自分たちで考えていける仕組みを作ることが、価値観浸透の上では重要なポイントになります。
海外のリーディング企業はこうした取り組みをたくみに推進しています。私は、10年ほど前までは、アメリカの企業は徹底したグローバル統治モデルを志向し、早くからプロセスやオペレーションモデルの共通化に取り組んでいたのに対し、日本企業は現地のことは現地に任せ、経営トップや財務責任者などに日本人を派遣する人治主義モデルを推進する志向が強く、両者はかなり対極にあるグローバル展開を推進してきた、と考えていました。 その中、ヨーロッパは中庸で、アメリカほど中央集権での統治をしていないが、一方で、一定の法治主義を主軸に進め、アメリカ型と日本型の間に位置づけられるモデルを志向してきたと考えてきました。しかし最近、ドイツの名だたる企業の人事責任者の方たちに話を聞く機会があり、熾烈なグローバルな競争環境の中にあるドイツ企業の統治システムが、かなりアメリカ型の、強いグローバル統合モデルに移行してきていることを再認識しました。
〔経営プロサミット2015 6/4講演「グローバルインテグレーションに向けた人事変革」より〕
モデルを作る、と申し上げてきましたが、形だけグローバルインテグレーションしても実際のオペレーションが、それによってうまく回るわけではない、ということです。 その運営を実際に回していく人材の質、量の確保を、重点事項として併せて検討する必要があります。“日本人”による運営には限界があることは、すでに触れましたが、広い視点で、優秀人材の獲得・維持を進めることが不可欠になります。
プロセスやオペレーションの仕組みを共通化、共有化はしても、均質化した人材のみを求めず、多様な人材の中から優秀人材を確保し、育成することがポイントです。仕組みとルールを共通化し、そこで働く人を多様化させる場合、企業としての価値観を従業員に浸透させ、組織として形成していくことは、大変に難しいテーマです。
経営トップが、強いリーダーシップを発揮し、企業理念や企業全体での価値観形成の推進を自ら行うことも必要です。一方で、そうした価値観の醸成を、現場のリーダーとメンバーが日々の活動の中でどう進めていくか、どう行動様式を変えていけるかを自分たちで考えていける仕組みを作ることが、価値観浸透の上では重要なポイントになります。
海外のリーディング企業はこうした取り組みをたくみに推進しています。私は、10年ほど前までは、アメリカの企業は徹底したグローバル統治モデルを志向し、早くからプロセスやオペレーションモデルの共通化に取り組んでいたのに対し、日本企業は現地のことは現地に任せ、経営トップや財務責任者などに日本人を派遣する人治主義モデルを推進する志向が強く、両者はかなり対極にあるグローバル展開を推進してきた、と考えていました。 その中、ヨーロッパは中庸で、アメリカほど中央集権での統治をしていないが、一方で、一定の法治主義を主軸に進め、アメリカ型と日本型の間に位置づけられるモデルを志向してきたと考えてきました。しかし最近、ドイツの名だたる企業の人事責任者の方たちに話を聞く機会があり、熾烈なグローバルな競争環境の中にあるドイツ企業の統治システムが、かなりアメリカ型の、強いグローバル統合モデルに移行してきていることを再認識しました。
〔経営プロサミット2015 6/4講演「グローバルインテグレーションに向けた人事変革」より〕
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