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経営戦略の実現を可能にするためのリーダー育成とは(5/5)

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リーダーシップコンピテンシーと育成プロセスで鍛えて育てる

リーダーシップコンピテンシーと育成プロセスで鍛えて育てる

 リーダーの育成は、教育制度だけではある程度の効果しか現れず、リーダーシップコンピテンシー、リーダー育成プロセス、トップタレント教育、トップタレント選抜管理制度、キャリアパスの明確化、トップタレントのアサインメントなどの仕組みがあって、相乗効果が生まれます。

 リーダーシップコンピテンシーとは、社員のリーダーシップの期待能力評価です。昇格にリーダーシップを採用します。またコンスタントアプリケーションが必要で、採用基準と評価基準が違わないようにしないといけません。徹底した制度化により、目標設定結果を測定することで、リーダーシップを育成できます。この定義はGEもP&Gにもあります。

 そして、本質的なリーダーシップ育成は教育ではありません。責任を通じてリーダーシップを育成できるのです。そのためにリーダー育成プロセスが必要です。まず強制的にアサインメントします。優しいアサインメントでは筋肉が発達しません。難しい、挑戦的な仕事をやらせることで、その人材は頭を使って実践できるようになります。そして、実践で実績をあげます。コンピテンシーがあっても実践できなければリーダーではありません。OJTや上司のコーチにより、知識を習得させます。またメンターを導入し社内外で教育し、見解を変えさせます。報酬を明確に差別化し、キャリアパスを動かし、仕組みを早く回します。GEでは6か月単位のプロジェクトで回しています。何年も同じような仕事をやらせると、トップタレントは退屈するので、ぐるぐる回します。
 また、将来のリーダー選抜においては、課長や部長をはじめ全ての階層でトップタレント制度を実施。将来の可能性で判断して優先的に優良な業務につかせ、透明なキャリアパスでメンターやトップタレント教育を駆使して育成します。

 日本が成功するため、卓越した優秀な企業となるためには、リーダーシップ育成なしにはできない、という世界に変わりつつあることを実感していただきたいのです。いくつかの実例を挙げましたが、どこかの会社のやっていることをそのまま真似するのではなく、その中にあるリーダー育成の仕組みを理解し、自分の会社に落とし込んでいくことが大切です。

〔経営プロサミット2015 6/5講演「経営戦略の実現を可能にするためのリーダー育成とは」より〕

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プロフィール

元P&G米国本社<br>  組織変革・HR担当ヴァイスプレジデント<br> AIDA LLC代表 会田 秀和 氏

元P&G米国本社
組織変革・HR担当ヴァイスプレジデント
AIDA LLC代表 会田 秀和 氏

プリガム・ヤング大学マリオットスクールオブビジネスで組織行動学修士を取得後、オハイオ州シンシナティ市にあるP&G 本社に入社。同社において、人事および組織デザインの社内プロフェッショナルとして、P&G フィリピンの改革、P&G ジャパンとP&G コリアのグローバル化、P&G グレーターチャイナの改革などを手がける。現在、AIDA LLC(Aida Consulting LLC)代表として経営戦略、組織デザイン、戦略的人材マネジメントに関するコンサルティングを行っている。他にアストラゼネカ株式会社の社外取締役、ビジネス・ブレークスルー大学大学院客員教授(組織行動学)。著書に『P&G 流 世界のどこでも通用する人材の条件』がある。

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