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経営戦略の実現を可能にするためのリーダー育成とは(4/5)

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リーダーシップを育成できる組織開発

リーダーシップを育成できる組織開発

 組織開発のベーシックな考え方についてお話しします。組織をデザインし、操作することでリーダーを育成できる文化をつくれます。ひとつのテコだけでは組織文化は変わらず、リーダーは育成できません。色々なテコを使わなければなりません。業務内容、進め方、構造でテコを考えます。事業部にするか、部門別にするか、マトリクスにするのか。成果主義にするか年功序列にするか、報酬制度、評価制度を考えて、意思決定について決めます。誰に権限移譲するか、どこでどういう意思決定するかで、リーダーシップができる、できないに大きく関わります。大きなことを決定できないとリスクをとれないし、自分の行動の変化もみられません。情報の提供も大事です。人材制度でどういう人を採用し、どういうキャリアパスを与えるかを考えます。色々なことが全て、相乗効果となってリーダーを育成できる文化を生むのです。

 日本的なやり方である、管理者への依存から脱却しなければなりません。管理者に仕事が与えられて「分かりました、やります」というのでは依存が起きます。ジョブディスクリプションもなく、管理者が「この人ならできそうだからこの仕事をやらせよう」と考え、仕事を与えるのはいけません。

 私たちは仕事のやり方を変えないといけません。私が欧米の企業でマーケティング部門を担当していた時は、明確な個人の業務規程、権限移譲があり、目標設定があるから成果が出せます。A、B、Cというそれぞれ別の仕事を持つ人がいて、各自が自分のタレントを活かして業務を遂行します。業務にはリーダーシップ業務も含まれ、よりコストを低く、よりコンシューマーのニーズを満たせる方法を考えて変革を進めていきます。きついと自分で思えば、やりやすい業務配分に変えられます。そしてそれぞれの役割、責任が明確で、結果を問われます。それが評価となり、良い評価がつけば早く上に行けます。競争して誰がトップか判断されます。

 人材育成を管理者の役割に入れないといけません。GEでは管理者の役割のうち、人材育成が占める割合は30%と言われています。マネージャーの責任はトップタレントの育成だということが明確に位置付けられています。それだけでは不十分で、欧米では人材育成を管理者の評価基準に入れています。だから本気の成果が出てきます。トップの目線がビジネスのほうに向いていると、育成は二の次でいい、というメッセージが下に届いてしまい、今ある組織が、育たなくて当然の組織になってしまいます。GEでは、経営幹部が育成のために戦略を練って、タレントレビューをしています。
私自身もP&Gでチャイナを訪問するとき、タレントレビューが業務に含まれていました。この人員の中で誰がトップタレントか、彼はどこまで行くのか、ディレクターか、ヴァイスプレジデントになれるのか、というディスカッションを必ずやりました。そういうことをしていると、人材育成の大切さが分かってきます。

 報酬や評価制度もリーダーシップの発想を取り入れないといけません。リーダーシップについて、明確な定義がないと、どう育てればいいのか分かりませんから、きちんと決め、リーダーシップを昇格の基準に入れます。成績が良くてもリーダーシップが弱い人はたくさんいます。そういう人は昇格させてはいけません。成績が良いからという錯覚で昇格させている企業が多いです。そして実力成果主義を報酬制度に入れます。日本企業はあまりにも差がないので、もっと差別化するべきです。調和が壊れるからと差別しないと、有能な人はすぐ外に出て行ってしまいます。

 意思決定は、トップタレントを全ての管理層でやります。部長になってから将来のリーダーを決めるのでは遅いのです。GEでは、入社1年目、2年目の時点で、有能さを判断する基準を決め、決定し、選抜して、たくさんトレーニングして経験を積ませるということをしています。会社を経営する上で、利益やボリューム、生産性、コストは計測するのに、なぜリーダーシップの育成はしないのでしょう。世界の、リーダーシップを育成する企業は、リーダーシップについても計測しています。

〔経営プロサミット2015 6/5講演「経営戦略の実現を可能にするためのリーダー育成とは」より〕

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プロフィール

元P&G米国本社<br>  組織変革・HR担当ヴァイスプレジデント<br> AIDA LLC代表 会田 秀和 氏

元P&G米国本社
組織変革・HR担当ヴァイスプレジデント
AIDA LLC代表 会田 秀和 氏

プリガム・ヤング大学マリオットスクールオブビジネスで組織行動学修士を取得後、オハイオ州シンシナティ市にあるP&G 本社に入社。同社において、人事および組織デザインの社内プロフェッショナルとして、P&G フィリピンの改革、P&G ジャパンとP&G コリアのグローバル化、P&G グレーターチャイナの改革などを手がける。現在、AIDA LLC(Aida Consulting LLC)代表として経営戦略、組織デザイン、戦略的人材マネジメントに関するコンサルティングを行っている。他にアストラゼネカ株式会社の社外取締役、ビジネス・ブレークスルー大学大学院客員教授(組織行動学)。著書に『P&G 流 世界のどこでも通用する人材の条件』がある。

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