働きがいのある会社を作るための施策を運用する際、配慮しているポイント
3つ目のトピックとして、実際に働きがいのある会社を作るために行っている施策と、その施策を運用する際に配慮しているポイントについて議論がされた。
シスコシステムズでは、社長からのトップダウンと、従業員からのボトムアップの双方向性を重視している。たとえば、同社におけるダイバーシティ推進の取り組みでは、従業員による6つのアンバサダーグループが活動する一方、役員がその活動をスポンサーとして支援している。これによって従業員自身が、企業文化を作る一端を担っているという意識が醸成されている。
アクロクエストテクノロジーでは、制度を作る際には皆で作るのが大前提。月1回の全社員会議(MA)で社員から新しい制度の提案があれば、社員全員の納得を得てから、運用を開始する。ただ、実際に運用していくと、うまくいかないこともあるため、制度は運用開始後3カ月で必ず見直すというルールを設けている。社員が不満に思っている制度については、修正したり、場合によっては廃止したりすることもあるが、いずれにしても、形だけの制度では意味がない、というのが鈴木氏の意見だ。制度に嫌々従っている社員はいないか、社員がその制度によってやりがいを持って働けているか、を重視しているという。
コンカーの金澤氏からは、コミュニケーション活性化のためのバディ制度における配慮について紹介された。コンカーのバディ制度とは、4~5人のグループを作り、グループの活動に対して会社から補助をする制度。従業員が急激に増えているなか、「会社にどんな同僚がいるのかわからない」という問題をカバーするための仕組みだ。グループを作る際には、できるだけ別の部署の従業員が集まるように、また話題のきっかけが作れるように配慮されているという。
シスコシステムズでは、社長からのトップダウンと、従業員からのボトムアップの双方向性を重視している。たとえば、同社におけるダイバーシティ推進の取り組みでは、従業員による6つのアンバサダーグループが活動する一方、役員がその活動をスポンサーとして支援している。これによって従業員自身が、企業文化を作る一端を担っているという意識が醸成されている。
アクロクエストテクノロジーでは、制度を作る際には皆で作るのが大前提。月1回の全社員会議(MA)で社員から新しい制度の提案があれば、社員全員の納得を得てから、運用を開始する。ただ、実際に運用していくと、うまくいかないこともあるため、制度は運用開始後3カ月で必ず見直すというルールを設けている。社員が不満に思っている制度については、修正したり、場合によっては廃止したりすることもあるが、いずれにしても、形だけの制度では意味がない、というのが鈴木氏の意見だ。制度に嫌々従っている社員はいないか、社員がその制度によってやりがいを持って働けているか、を重視しているという。
コンカーの金澤氏からは、コミュニケーション活性化のためのバディ制度における配慮について紹介された。コンカーのバディ制度とは、4~5人のグループを作り、グループの活動に対して会社から補助をする制度。従業員が急激に増えているなか、「会社にどんな同僚がいるのかわからない」という問題をカバーするための仕組みだ。グループを作る際には、できるだけ別の部署の従業員が集まるように、また話題のきっかけが作れるように配慮されているという。

質疑応答
ディスカッションが終わったところで、参加者を交えた質疑応答が行われた。内容は以下のとおり。
●Q1 社員からどんどんアイディアが出てくるのは素晴らしいが、アイディアが多すぎると、それを実行する側に負担もかかるし、また社員間での温度差も出てくると考えられる。そこへの対処はどのようにしているのか。
シスコシステムズでは、ダイバーシティを尊重し、取り組みへの参加を強制しないという。たとえば、アンバサダー活動については、好きなときに入って好きなときに抜けられるようになっている、と述べられた。
アクロクエストテクノロジーでも、新しい取り組みに対してポジティブになれない社員がいた際、その社員と話し合いを入念に行い、場合によってはその社員には制度を適用しないという措置も行っているという。ネガティブな感情を抱いた制度は、当人への実効性に欠ける、というのが根底にある考え方だ。また改善の取り組みについては、話し合い、無理のない範囲で、複数並行している、と述べられた。
コンカーでは、新しい取り組みを担うタスクフォースが、従業員によって自主的に形成される文化があるため、新しい取り組みを進める負担が管理部門に偏らないようになっていると紹介された。
●Q2 取り組みや施策への評価はどのようにしているか。
シスコシステムズでは、従業員満足度調査によって取り組みの評価を行っているという。経営陣が調査で集計された点数とコメントを見ながら話し合い、どういうアクションを取っていくかを考える仕組みとなっている。近年の例を挙げると、「キャリアの広がりに対する足がかりが少なく、閉塞感がある」という意見に対し、シャドーイングプログラム(別の部署の従業員について(3か月間のプログラム期間中6時間から20時間を自由に選択)その仕事を疑似体験する)を実施。その結果、翌年の調査では従業員満足度が上がったという。
ただし、働き方に対する課題は常にあり続けるため、その課題に対して継続的に取り組んでいることを、経営陣がきちんと全社に見せることが大切だと宮川氏は述べる。さらに2018年以降、課題に対するアクションを検討する段階に、従業員を参画させよう、という試みを行っていることが紹介された。
アクロクエストテクノロジーでは、企業規模が小さいこともあり、制度や取り組みに対する評価は行われていないが、自然と、うまく運用できて効果も上がった制度は残り、そうでない制度は淘汰されるという仕組みになっているという。
コンカーでも、さまざまな調査を行うことで、施策への評価を行っている。代表的なのは、四半期に1回のパルスチェック。同調査は従業員の負担を軽くするため、答えやすい質問10問にとどめられており、また記名式であるため、悩んでいる社員がいた場合に素早く検知してアクションを取れるのがポイントだ。
●Q3 従業員が声を出しやすくするための文化の醸成はどのようにしているのか。たとえば、ボランティア活動をしている人に対してリワードを設けているのか。
シスコシステムズでは、社員間のコラボレーションを促進するための施策として、社員同士の報奨制度(connected recognition)を設けている。「ブラボー」という声掛けだけの報奨はもちろん、金銭的な報奨も可能な制度だ。アンバサダーなど、業務外で活動した人も報いられる制度となっている。
アクロクエストテクノロジーでは、新卒社員に対し、入社前の内定者研修の段階で、同社が自由に意見の言い合える文化を持っていることを伝えているという。また、会社のためになる活動であれば、どのようなことも「仕事」であり、「ボランティア」ではないという考え方がある点も強調された。そのため、たとえばエンジニアがエンジニアリング以外のことを行った場合も、それが会社のためになることであれば、査定で評価するようにしているという。
コンカーでは、年に1回実施する「コンストラクティブフィードバック」という従業員調査や、自社の課題に対し全社的に考える「オフサイトミーティング」で意見が出た際、その意見をできるだけ反映するよう努めている。反映できなかった意見については、その理由を含めて、フィードバックしているという。自分たちの意見がきちんと受け止められている実感があれば、意見を言いやすくなるという考え方だ。また、年2回の表彰制度において、業務外のことでイニシアチブを取った人も評価するようにしている。
●Q4 経営陣がなかなか働き方改革に乗り気でない場合の、コミュニケーションのポイントを教えてほしい。
シスコシステムズでは、働き方改革は、人事戦略ではなく、経営戦略であるとしているという。会社における各ステージで、働き方改革がどのように役立つかを明確化し、売上の増加や会社の成長にどのように影響するかを重視した上でコミュニケーションを取っていると述べられた。
アクロクエストテクノロジーでは、全社員会議で決まったことを社員の総意として重視し、社長をはじめとした経営陣に対しても、忖度しないことを重要視しているとのこと。
●Q1 社員からどんどんアイディアが出てくるのは素晴らしいが、アイディアが多すぎると、それを実行する側に負担もかかるし、また社員間での温度差も出てくると考えられる。そこへの対処はどのようにしているのか。
シスコシステムズでは、ダイバーシティを尊重し、取り組みへの参加を強制しないという。たとえば、アンバサダー活動については、好きなときに入って好きなときに抜けられるようになっている、と述べられた。
アクロクエストテクノロジーでも、新しい取り組みに対してポジティブになれない社員がいた際、その社員と話し合いを入念に行い、場合によってはその社員には制度を適用しないという措置も行っているという。ネガティブな感情を抱いた制度は、当人への実効性に欠ける、というのが根底にある考え方だ。また改善の取り組みについては、話し合い、無理のない範囲で、複数並行している、と述べられた。
コンカーでは、新しい取り組みを担うタスクフォースが、従業員によって自主的に形成される文化があるため、新しい取り組みを進める負担が管理部門に偏らないようになっていると紹介された。
●Q2 取り組みや施策への評価はどのようにしているか。
シスコシステムズでは、従業員満足度調査によって取り組みの評価を行っているという。経営陣が調査で集計された点数とコメントを見ながら話し合い、どういうアクションを取っていくかを考える仕組みとなっている。近年の例を挙げると、「キャリアの広がりに対する足がかりが少なく、閉塞感がある」という意見に対し、シャドーイングプログラム(別の部署の従業員について(3か月間のプログラム期間中6時間から20時間を自由に選択)その仕事を疑似体験する)を実施。その結果、翌年の調査では従業員満足度が上がったという。
ただし、働き方に対する課題は常にあり続けるため、その課題に対して継続的に取り組んでいることを、経営陣がきちんと全社に見せることが大切だと宮川氏は述べる。さらに2018年以降、課題に対するアクションを検討する段階に、従業員を参画させよう、という試みを行っていることが紹介された。
アクロクエストテクノロジーでは、企業規模が小さいこともあり、制度や取り組みに対する評価は行われていないが、自然と、うまく運用できて効果も上がった制度は残り、そうでない制度は淘汰されるという仕組みになっているという。
コンカーでも、さまざまな調査を行うことで、施策への評価を行っている。代表的なのは、四半期に1回のパルスチェック。同調査は従業員の負担を軽くするため、答えやすい質問10問にとどめられており、また記名式であるため、悩んでいる社員がいた場合に素早く検知してアクションを取れるのがポイントだ。
●Q3 従業員が声を出しやすくするための文化の醸成はどのようにしているのか。たとえば、ボランティア活動をしている人に対してリワードを設けているのか。
シスコシステムズでは、社員間のコラボレーションを促進するための施策として、社員同士の報奨制度(connected recognition)を設けている。「ブラボー」という声掛けだけの報奨はもちろん、金銭的な報奨も可能な制度だ。アンバサダーなど、業務外で活動した人も報いられる制度となっている。
アクロクエストテクノロジーでは、新卒社員に対し、入社前の内定者研修の段階で、同社が自由に意見の言い合える文化を持っていることを伝えているという。また、会社のためになる活動であれば、どのようなことも「仕事」であり、「ボランティア」ではないという考え方がある点も強調された。そのため、たとえばエンジニアがエンジニアリング以外のことを行った場合も、それが会社のためになることであれば、査定で評価するようにしているという。
コンカーでは、年に1回実施する「コンストラクティブフィードバック」という従業員調査や、自社の課題に対し全社的に考える「オフサイトミーティング」で意見が出た際、その意見をできるだけ反映するよう努めている。反映できなかった意見については、その理由を含めて、フィードバックしているという。自分たちの意見がきちんと受け止められている実感があれば、意見を言いやすくなるという考え方だ。また、年2回の表彰制度において、業務外のことでイニシアチブを取った人も評価するようにしている。
●Q4 経営陣がなかなか働き方改革に乗り気でない場合の、コミュニケーションのポイントを教えてほしい。
シスコシステムズでは、働き方改革は、人事戦略ではなく、経営戦略であるとしているという。会社における各ステージで、働き方改革がどのように役立つかを明確化し、売上の増加や会社の成長にどのように影響するかを重視した上でコミュニケーションを取っていると述べられた。
アクロクエストテクノロジーでは、全社員会議で決まったことを社員の総意として重視し、社長をはじめとした経営陣に対しても、忖度しないことを重要視しているとのこと。
総括――働きがいのある会社作りに終わりはない
最後に総括として、各会社における今後の展望が語られた。
シスコシステムズの宮川氏は、会社規模にかかわらず、働きがいのある会社作りには共通項があることを実感したと述べた。同時に、働き方改革や働きがいのある会社作りに終わりはなく、継続して取り組む必要性も感じたとのこと。またそうした中、企業における人事の役割が大きく変わってきていることも注目すべきだと強調。人事の施策が会社の成長を支えているという点が、以前にも増して注目されていることから、今後もバックオフィスの活躍が期待されると述べた。
アクロクエストテクノロジーの鈴木氏は、これまで同社がやってきたことが、最近になって世の中に評価され始め、社員がプライドを持ってきていると述べた。会社としては、社員数が増えても、限界まで皆で話し合うことを続けたいという。
コンカーの金澤氏は、会社の従業員数が増えたことで、これまでとは違った課題が見えてきたとのこと。働きがいのある会社作りを継続することの重要性を実感し、今後も勉強を続けていきたいと締めくくった。
働きがいのある会社を作るための考え方はもちろん、それらを実現するための具体的な施策も紹介された、今回のミートアップ。働きがいのある会社作りとは、企業の成長のために必要な経営戦略であることが強調されたパネルディスカッションとなった。企業の経営者は、形だけの働き方改革を推進するのではなく、働き方改革に関する施策が企業の発展にどのように資するかを、人事担当者や現場の社員たちと十分に議論したうえで、取り組みを推奨すべきだろう。
シスコシステムズの宮川氏は、会社規模にかかわらず、働きがいのある会社作りには共通項があることを実感したと述べた。同時に、働き方改革や働きがいのある会社作りに終わりはなく、継続して取り組む必要性も感じたとのこと。またそうした中、企業における人事の役割が大きく変わってきていることも注目すべきだと強調。人事の施策が会社の成長を支えているという点が、以前にも増して注目されていることから、今後もバックオフィスの活躍が期待されると述べた。
アクロクエストテクノロジーの鈴木氏は、これまで同社がやってきたことが、最近になって世の中に評価され始め、社員がプライドを持ってきていると述べた。会社としては、社員数が増えても、限界まで皆で話し合うことを続けたいという。
コンカーの金澤氏は、会社の従業員数が増えたことで、これまでとは違った課題が見えてきたとのこと。働きがいのある会社作りを継続することの重要性を実感し、今後も勉強を続けていきたいと締めくくった。
働きがいのある会社を作るための考え方はもちろん、それらを実現するための具体的な施策も紹介された、今回のミートアップ。働きがいのある会社作りとは、企業の成長のために必要な経営戦略であることが強調されたパネルディスカッションとなった。企業の経営者は、形だけの働き方改革を推進するのではなく、働き方改革に関する施策が企業の発展にどのように資するかを、人事担当者や現場の社員たちと十分に議論したうえで、取り組みを推奨すべきだろう。
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