優れた職場の12の条件

アメリカにあるギャラップという調査会社が、1,300万人を超える膨大な調査データから導き出した、会社の業績を診断できる12の指標「Q12(キュー・トゥエルブ)」をご存知だろうか。
この数値が高くなればなるほど、会社の業績(生産性、利益、従業員定着率、顧客満足度)も比例して上昇するのだと言う。つまり、この指標を使えば優れた職場か否かがはっきりと数値で示されるというわけだ。

アメリカにあるギャラップという調査会社が、1,300万人を超える膨大な調査データから導き出した、会社の業績を診断できる12の指標「Q12(キュー・トゥエルブ)」をご存知だろうか。
この数値が高くなればなるほど、会社の業績(生産性、利益、従業員定着率、顧客満足度)も比例して上昇するのだと言う。つまり、この指標を使えば優れた職場か否かがはっきりと数値で示されるというわけだ。そこで今回はこの 「Q12」を軸に、「優れた職場のつくり方」について解説していこう。

12の質問とは

12を測るための12の質問は、以下の通り。

Q01.職場で自分が何を期待されているのかを知っている
Q02.仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている
Q03.職場で最も得意なことをする機会が毎日与えられている
Q04.この7日間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
Q05.上司または職場の誰かが、自分をひとりの人間として気にかけてくれるようだ
Q06.職場の誰かが自分の成長を促してくれる
Q07.職場で自分の意見が尊重されるようだ
Q08.会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
Q09.職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
Q10.職場に親友がいる
Q11.この6ヵ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
Q12.この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった

選択肢は全部で5つで、配点は次のようになっている。

・完全に当てはまる(5点)
・やや当てはまる(4点)
・どちらともいえない(3点)
・やや当てはまらない(2点)
・完全に当てはまらない(1点)

あなたの会社の従業員にこれらの質問をし、答える点数が上がっていけば、あなたの会社は優れた会社になり、業績も上がっていくというわけだ。

さて、あなたは、この12の質問を読んでどう思っただろうか。

「なるほど、いいことが書いてある」と思う人もいれば、「しょせんアメリカでできたもので、日本では当てはまらないのではないか」と思う人もいるだろう。

また、「このような個人の主観的な感覚に点数をつけたものを、外からの働きかけによって上げることができるのだろうか」という感想もありそうだ。

だが、よい管理職であれば、日頃からこれらの項目のいくつかは意識して行動しているはずだ。そのような個人の姿勢にとどまらず、会社ぐるみでこの質問に沿ったマネジメントを展開していくことで、生産的な職場を生み出すことができる。

優れた職場をつくるルートマップ

上記の12の質問は、ただランダムに並んでいるのではない。順に考えていくことで、「優れた職場をつくるルートマップ」の役割も果たすようになっている。

これは、仕事に取り組む従業員の視点で考えると分かりやすいだろう。まず、 Q01とQ02は「仕事の基本部分」だ。

Q01.職場で自分が何を期待されているのかを知っている
Q02.仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている

ここが満たされないと、従業員は戸惑いや不満を感じながら、職場で毎日を過ごすことになる。当然、パフォーマンスは上がらないだろう。

だが、この基本が満たされると、次は、「自分自身は職場にとってどのような貢献をしているのか」、「職場の人たちは自分の仕事ぶりをどう評価してくれているのか」が気になってくる。そのような内容が、Q03~Q06だ。

Q03.職場で最も得意なことをする機会が毎日与えられている
Q04.この7日間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
Q05.上司または職場の誰かが、自分をひとりの人間として気にかけてくれるようだ
Q06.職場の誰かが自分の成長を促してくれる

これらは、言い換えると「個人的パフォーマンス」と「個人の自負心と価値」に焦点が合わせられている。

次のQ07~Q10は、「職場への帰属や同僚への信頼感」を測る質問だ。

Q07.職場で自分の意見が尊重されるようだ
Q08.会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
Q09.職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
Q10.職場に親友がいる

この段階になると、「自分はこの職場に居場所があるだろうか」、「仲間に溶け込んでいるだろうか」と、個人プレイだけではなく、チームで仕事をするということに目が向いてきている。

そして最後に、従業員は「職場の全員が成長するにはどうしたらよいか」と考えるようになる。それが測られるのが Q11とQ12だ。

Q11.この6ヵ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
Q12.この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった

――以上、12の質問が示す道筋を辿ってみたが、いかがだっただろうか。次回は、管理職の視点から、この12の質問に部下が肯定的な答えを出すにはどのような点に注目したらよいのか、一つひとつ見ていこう。


李怜香(り れいか)
メンタルサポートろうむ 代表
社会保険労務士/ハラスメント防止コンサルタント/産業カウンセラー/健康経営エキスパートアドバイザー