経営・ビジネスの課題解決メディア「経営プロ」

ゲームを使って後継者を育成する

第3回  ビジネスパーソンの99.9%が正解できない意思決定ゲーム

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

強い参加者の圧倒的スピードは、選択肢の絞込から生まれている

 この研修では、研修参加者が「どのように考えればよかったのか」をディスカッションし、最後にその結果を聞きながら全員で答えを出していく。そこでの反応は「なんでそんなアタリマエのことに気付けなかったんだ!」というものだ。これは、勝つための考え方は極めてシンプルだということだ。成績の良い参加者は「考えることは少ししかないですね」という。一方、成績の悪い参加者は、「考えることが多いですね」という。

 成績の良し悪しでゲームにかかる時間も大きく違う。本ゲームでは、1期の経営に60分かけるのだが、成績の良い参加者は60分で3期分の経営を全て終わらせることもある。これは、無駄な選択肢を排除しているため、考えることが少なく、決定が早いことによるものだ。意思決定力によって、施策の検討から実行に至るスピードが大きく異なることを端的に示している。この差は現実の経営にどのような影響を与えるだろうか。

振り返ることで思考が裸にされる

 研修参加者に「その意思決定の理由は何か」と問うと、例えば、「投資なので先にしたほうが良いと思った」という答えが返ってくる。それに対して、「では、投資を先にした方が良いと思ったのはなぜですか?」と問うと、「…投資なので」という説明力のない答えが返ってくる。これは、新入社員研修での問答ではなく、管理職研修や次世代リーダー研修でよくあるやり取りだというと驚かれるだろうか。振り返りを行う中で、「どこまで考えて意思決定できたのか」が明らかになっていく。

経営を任せると“意思決定弱者”から順に脱落していく

 運がないゲームは、論理がモノを言う数学の証明問題である。広い意味での論理的思考力と意思決定がなければ正解に辿り着けない。以前、外資系戦略コンサルティングファーム出身者が「パースペクティブ」を「ロジカルシンキングで答えを出し、それをチームメンバーを説得して合意を得るロジカル・コミュニケーションのゲームだ」と評した。これは経営者が日常的に行うコミュニケーションと類似していないだろうか。

 運がない状況はシンプルかつ意思決定の基礎である。運のない状況は、研修参加者に意思決定力の差をシビアに突きつけ、負けた場合に不運を理由とした言い訳を許さない。このため、運がない状況で間違いばかり犯す人たち(ここからは意思決定弱者と呼ぶ)が、運があるゲームに参加すると、運がある状況で妥当な意思決定ができる人たちが楽しむより前に、意思決定弱者が脱落していく。勝ち残りではなく、負け抜けのゲームになる。ハーバード大学MBA出身の外資系企業の日本法人の代表者は、役員全員を集めてゲーム研修を実施し、その最後にこう語った。

“それなりの人たちは、意思決定ではほとんど間違えないので勝負がつかない。そして、意思決定のできない人から順に脱落していくので、普通に経営していればそれでよいのだ。”

 これは、非合理的な競争相手の多さを示唆している。多くの人が合理的な判断をできないから合理的な判断をするだけで競争に勝利できる。

お気に入りに登録

関連記事

会員登録 / ログイン

会員登録すると会員限定機能や各種特典がご利用いただけます。 新規会員登録

会員ログインの方はこちら