経営・ビジネスの課題解決メディア「経営プロ」

ゲームを使って後継者を育成する

第3回  ビジネスパーソンの99.9%が正解できない意思決定ゲーム

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
どんなゲームでも意思決定が効率よく学べるわけではない

どんなゲームでも意思決定が効率よく学べるわけではない

 ゲーム研修の事例として、”答えがあるにも関わらず、1万人に1人しか正解が出せていないゲーム”を紹介しよう。前回、意思決定を学ぶにはゲームが良いと書いたが、どんなゲームでも意思決定が効率よく学べるわけではない。意思決定は状況によって適用するべきルールが異なり、状況ごとに適切な意思決定方法は異なる。状況には、簡単にいうと、「運がない状況」、「運があるが確率が想定できる状況」、「運があり確率が想定できない状況」の3つがある。現実世界は「運があり確率が想定できない状況」に属する。

応用問題から解かせてはいけない

 これら3つの状況のうち、まずはどの状況における意思決定に習熟すべきだろうか。多くの方は、現実に近いものを扱えば効果があると考え、「運があり確率も想定できない状況」を選びがちだが、実はそれではうまくいかない。基礎ができていないのに現実に近いものをやらせるのは下策である。現実はいうなれば応用問題なのだ。

 運が除外された世界とはどのような世界だろうか。それは、何かを行えばどんな場合でも同じ結果になる世界である。例えば、営業に行けば必ず受注できて受注額も確定している、製造しようと決めたらロスが発生せずに確実に決めた数量が製造される、飲食店であれば、来店者の数と客単価が固定されているような状況と思えば分かりやすいだろうか。

 こうした世界が運のない世界であり、これを「確実性の世界」という。確実性の世界には正解がある。適切に意思決定を行いさえすれば確実に正解にたどり着けるという点ではパズルに似ている。ゲームには運があるという先入観をお持ちの方には特殊に見えるかもしれない。

運がなくても正解に到達できるのは0.01%以下

 運がない世界なんて簡単すぎると思う人もいるだろう。ただ、多くの人にとっては、それほど簡単ではないようだ。

 当社では、「運がない」ことを特徴とした経営シミュレーション「パースペクティブ」を提供している。「パースペクティブ」では財務諸表を学べるので、その部分が注目されがちなのだが、実は運のあるゲーム研修のアンチテーゼとして作られている。

 繰り返しになるが、運が無いということは、つまり正解があるということだ。正しい意思決定をすれば、確実に正解に辿りつける。「パースペクティブ」には、過去に10,000名超が参加しているが、その中で正解に辿りついたのはわずか2名(2017.1現在)しかいない。そのうち1名はアルヴァスデザインという研修会社の経営者だ。実に0.01%以下しか正解に辿り着けていない。というと、参加者のレベルが低いと思われるかもしれないが、当社の顧客層は超大手企業や外資系企業が中心である。参加者には上場企業の現地法人の経営経験があったり、公認会計士資格を保有していたり、経営企画室や経理部門に属していたり、元銀行員もいて、レベルが低いとは考えにくい。また、変数の多い超難解なゲームと思うかもしれないが、このゲームの変数はそれほど多くない。にも関わらず、万に一人しか正解が出せないのである。全員が同じ設定にも関わらず、意思決定力の差によって、結果に3倍もの差がつくこともある。

お気に入りに登録

関連記事

会員登録 / ログイン

会員登録すると会員限定機能や各種特典がご利用いただけます。 新規会員登録

会員ログインの方はこちら