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理念浸透で成果があがる組織と低迷する組織の違い

第4回  瞬時に人を動かすリーダーに学ぶメッセージの伝え方

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 理念・方針を浸透させるためには、抽象的な理念・方針を日常場面で意識できるようにする必要があります。そのためには、理念や方針につながる考え方や行動を、メンバー一人ひとりの体験から引き出すことが有効であること。そして、引き出すための1つの策として「コミュニケーション・ハンドブック」制作という方法があることを、前回のコラムでお伝えしました。

 今回は、「コミュニケーション・ハンドブック」を制作した場合はより成果につながりやすくなり、ない場合でも意識的に取り組むことで、メンバーの意識や行動の変化を促す上で効果的な、リーダーの「伝え方」についてお伝えします。

青山学院大学の原監督とスティーブ・ジョブズの共通点

 2017年の箱根駅伝では3連覇がかかる青山学院大学陸上部。何年もシードが取れなかったチームが、原監督就任後、年を経るごとに強くなり、今では他大学の追随を許さないレベルへと成長しています。そのため、原監督のマネジメント手法に大きな注目が集まっています。
 原監督がいったいどのようにして選手をやる気にさせているのか。そこに関心を持った私は、原監督の話を直接伺える講演会に参加しました。講演会で原監督は、「いつも、どういう話をしたら、どういう風に伝えたら、選手に響くか。とても気を配っています」とお話されていました。
 この話を聞いた時、プレゼンテーションの達人と言われるある経営者が思い浮かびました。その人は、アップル創業者スティーブ・ジョブズです。スティーブ・ジョブズは、プレゼンテーションの際、徹底的に聴衆のことを考えていたことは大変有名です。そのため「シンプル」であることにこだわりがありました。
 しかも、そのシンプルな表現で、瞬時にイメージが伝わることにこだわっていました。例えば、初代iPodのフレーズは次のようなものでした。
「iPod。1000曲をポケットに。」
 iPodのサイズ、メリット、それを持った時の情景が浮かびワクワクする気持ち、など、たった一言で、全てをイメージさせることができる究極のメッセージです。
 実は、原監督も効果的なメッセージの伝え手として高い評価を得ています。例えば、箱根駅伝では毎年作戦名が公表され、2015年は「ワクワク大作戦」、2016年は「ハッピー大作戦」というネーミングが使われていました。これは、選手に対し、どのような気持ちで試合に臨んで欲しいかを一言で言い表したものですが、選手のみならず、メディアや応援する人たちの気持ちもつかみ、多くの人の記憶に残るメッセージとなっています。

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