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理念浸透で成果があがる組織と低迷する組織の違い

第2回  インナー・ブランディングにおけるリーダーの役割

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 7月に弊社では、新任人材育成のご担当者様を対象に「理念を社員のやりがいと組織の発展につなげる育成の考え方と進め方」というテーマでセミナーを開催しました。
 セミナーの中では、グループでの話し合いのテーマの1つとして、それぞれの会社の「理念」や「中長期経営計画」などについて紹介いただく場面を設けています。そのグループ内での共有後のフリートークの場面で、次のような意見がありました。

「今回、セミナーに参加するために、理念や計画を確認してきました。しかし、人材育成の仕事に携わるまで、意識したことがなかったことに気づきました」
「理念や計画の存在は知っていましたが、あらためて書き出してみると、こんなことが書いてあるんだと。内容まで深く知らなかったことに気づきました」
「理念を全部言うのは難しいと感じました」
「カードや手帳になっているので、目にすることはあっても、自分ごととしてはあまり考えていなかったことに気づきました」

 など。人材育成に携わるまでは、理念があることは知っていても、その内容や意味を理解することがなかったと、ほとんどの方がおっしゃっていました。

 実は、理念浸透を進める組織の多くは情報発信をするにとどまり、内容や意味を自分ごととして捉える機会を設けていません。そのため、人材育成に携わるようになって初めて具体的に考えた、ということも珍しくありません。

 そこで、参加者の方々には「それが社員の多くの方が感じられていることだと思うので、ぜひ、その感覚は大事になさってください。その上で、自分たちが理念浸透に取り組む中で、まずは、浸透度合いを客観的に把握するための目安をもつことをお勧めします」とお伝えしました。

理念の浸透度合いを客観的に把握するためには?

 理念浸透を進める過程における次の課題として、浸透度合いを測る具体的な目安がないという話をよく耳にします。そこで、職場でもある程度の浸透度合いを測ることができる「理念浸透度合いの目安」をご紹介します。本目安では、「ベースポイント」を基準とし、浸透度合いを6つに分けています。

【理念浸透度合いの目安】
ベースポイント理念があることを知っている
ポイント1理念が生み出された背景を理解している
ポイント2理念を体現したエピソードなど、具体例を知っている
ポイント3(自分なりに)自分の組織を顧客やステークホルダーから「こう見てもらいたい」というイメージがある。そのイメージが、理念と関連している
ポイント4組織や仕事に誇りをもっている(やりがい、働き甲斐を感じている)
ポイント5組織の未来に希望をもっている
ポイント6組織にとって大事な価値観を前提に、判断や行動をし、他者に好影響を与えている(顧客およびステークホルダーからのフィードバックがある)

 通常、測定する際「レベル」を設けて測ることが多いのですが、ここでは「ポイント」という表現を用いています。理由は、理念についてはレベル分けよりも、「出来ていること」と「出来ていないこと」を区別したほうが効果的だからです。その背景としては、多くの場合理念は、経営者が大事にしたい価値観を反映しているので、言葉として理解していなくても、組織で大事にしていることが伝わっていることは往々にしてあるからです。
 例えば、身のまわりの人のケースで考えてみるとわかりやすいかもしれません。自分の目から見て「組織や仕事に誇りを持っている人」でも、言葉としての理念を明確に言えない、という場合です。
 このような場合の理念浸透の取り組みとしては、言葉の浸透を通じ、その人の経験と言葉を照らし合わせることで、部下や後輩の指導・育成における再現性や意思決定の精度などを、高める目的で進めると効果があることでしょう。

新入社員や若手社員への教育効果が限定的な理由

 それでは、実際に理念を浸透していく際、どのような人たちがその浸透役を担っているでしょうか。部門としては、経営企画、ブランド推進室、人材育成などが多いことでしょう。それらの部門が対象とするのはどのような人たちでしょうか。その多くは、新入社員や若手社員など、教育がしやすい対象です。
 しかし、新入社員や若手社員に教育を施しても、現場での実践につながりにくいという声を聞きます。
 ある担当者は「新入社員研修で理念行動ができるようになっていたメンバーに、職場配属後、実践しなくなっていたのでその理由を聞いたんです。すると「だって求められてないし」と、言われてしまって」
 このようなストレートな返答をしないまでも、新入社員や若手社員の本音は似たり寄ったりです。職場の中で自分たちだけが他の人たちと違うことをすることを、彼らはことの他嫌がります。また、評価されないことはやりません。
 そのため、教育現場では実践できても、職場で体現できないことはよくあるのです。

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