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第9回  経営トップの「内省的実践」とは? ~需要創造型の実践理念経営を促進する~

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経営トップの「舵取り」の困難さ

経営トップの「舵取り」の困難さ

 世界経済の市場環境は相変わらず激変しています。
 今回は、この激変の時代に成功確率の高い「経営の舵取り」(以下「舵取り」)をするための、経営トップの「内省的実践」について考えたいと思います。「舵取り」とは「市場環境の必然を先見し、道を定める」こと。「内省的実践」とは、メタ認知を働かせながら実務を行い、成功確率を上げていくことです。
 さて、激変する市場環境の中での「舵取り」は至難の技ですが、例えば、トヨタ自動車のハイブリッド車開発は、成功例といえるでしょう。
 脚光を浴びたのは、数年前からですが、取り組み始めたのは、実に30年以上前にさかのぼるから驚きです。
 エンジンと電気モーターのW動力源で、エコや低燃費を実現した車の誕生は、まさに「時代の必然を読んだ新事業」を育てた成果と言っても、過言ではありません。
 しかし、トヨタ自動車のような長期的スパンでの「舵取り」ができる企業は数少ないのが実態ではないでしょうか。
 経営トップは、さまざまな決済、株主対応、取引先との良好な関係の構築など、日々数多の「舵取り」をしながら、組織をどこに向かわせるのかという難題を抱えています。
 市場環境が読めなくても経営判断をし、結果を一定期間内に出さなければならず、「強い不安」がのしかかる。そんな中でも、最終的に自分が決めなければならない項目が多く、「意志決定した事項」に対する成果の検証が問われる立場にあるのです。

経営トップの「内省」の落とし穴

 このようなことから、経営トップが成果の検証をして自らを振り返る、つまり「内省」する時、ともすれば陥りがちな「落とし穴」があります。私自身、経験者ですので、整理してみました。

①短期的成果(一年)を関心事の中心として内省する
②連続性(既存のビジネスモデルによる成果)と革新性(新たな戦略・方針による成果)のどちらかで内省しようとする
③社内の不活性部分や「できていない点」を列挙して内省しようとする
④「理念・ビジョン」の実践と短期業績を分けて内省しようとする

 などです。
 これの原因を掘り下げ、どのような対策を講じているのかも当然、内省することになります。
 私の場合、このような内省を続けていたある日、こう強く感じました。「なんで皆、こんなに疲れているのだろう? ひょっとすると、自分は社員に対して『できてない』を前提に質問しているのではないか? もしそうならば『できていない点』が目に付くだけでなく、『集団の関心事=経営トップの関心事』の枠組の中に社員の意識が限定されてしまう……」と。
 そのような「落とし穴」にはまっていることに気付いた瞬間でした。

「舵取り」の成功率を上げる「内省」

「舵取り」の成功確率を上げるには、本来は以下のように「内省する」のが望ましいのです。

①「短期・中期・長期」を串刺しにした成果に、関心の中心がある
 現場に近づくに従って、より短期の業績に関心がいってしまいがちです。だからこそ、経営トップは「短期・中期・長期」を見据え、串刺しにした業績がどこまでできているかを「内省する」必要があるのです。
②連続性と革新性を「統合」または「両立」させた打ち手や仕事ぶりが、どこまでできているかを「内省する」
 そうしなければ、経営成果の乱高下を必要以上に生じさせるからです。
③「できている点」を見る習慣をつける
 どこまでできるようになったかが重要だからです。
④「理念・ビジョン」の実践化を図る過程での業績成果を「内省する」
 経営トップの「理想的な信念や価値観」を具現化した結果としての成果に関心を持つことが、「理念・ビジョン」の浸透を促すからです。

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