経営・ビジネスの課題解決メディア「経営プロ」

人と組織が活きる経営判断

第3回  価値観の変化を先取りする需要創造

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 我々民間企業はリーマンショックや東日本大震災を経験しながらもさまざまな取り組みをし、新たな需要を創り出しています。
 特に、東日本大震災以降は、消費者の価値観に変化が見られます。
 例えば、消費者心理の中には、老後、増税、大余震、日本を取り巻く近隣国との対外関係、エネルギー、原発事故による健康など、さまざまな不安が複合した危機感が強く発生しています。しかも、生命・生活に対する安心・安全を大切にしたいという想い、そしてエネルギー不足に対する不安から、質素倹約を尊ぶ価値観も発生しています。
 これらの不安要素が、成熟経済社会における経済活動をより難しくしています。
 また、価値観が変化するということは、「購買の動機」が変化することを意味します。
 例えば、「省エネ」の価値観が強くなると、車を買い替える場合、「より燃費の良い車」が購買の動機になり、同じ金額であればエコカーを選択する確率が高くなるのです。

 そこですでに芽生えている需要創造に、価値観の変化を加えて展望してみましょう。

1. 省エネや再エネ活用による需要創造
 省エネや再エネ(再生可能エネルギー)活用による需要創造は、エコ・エネルギーソリューションの方向で、非常時にも安心・安全を実現する供給体制を市場に提案していけば、新たな需要を創る確率が高くなるでしょう。それは、安心・安全な生活を維持するための購買動機が高まっているからです。

2. 環境に優しい新エネルギーの開発による需要創造
 環境に優しい新エネルギーの開発による需要創造は、太陽光や風力などの発電技術と同時に、蓄電技術が新たな需要創造につながる確率は高いでしょう。それは、「無駄・むら」を省き、少しでも倹約したいという購買の動機につながるからです。

3. グローバル化対応のためのイノベーションによる需要創造
 グローバル化対応のためのイノベーションの成功確率を高めるには、アジア圏を一つの商圏として捉えることと、価値観の多様性の理解に取り組むことです。そして、価値観の多様性を認めた上で、共通する価値となる「理念の実践化」の浸透に取り組めば、需要創造に向けたイノベーションが進むことでしょう。
 そして、人種や生活様式、言葉の違いなど、さまざまな価値観の違いはあっても、理念という共通価値や、社会や市場をより良くするために事業をしているという価値観は、共有化できる確率が高いものです。

4. ボーダレス化のためのイノベーションによる需要創造
 ボーダレス化のためのイノベーションの成功確率を高めるには、共創型(互いを尊重し、共に知恵を出し、創る)のコミュニケーション能力が必要です。対立を両立に変えるコミュニケーション力があれば、「共創のパートナー関係」を作るのに必要な膨大な時間と労力が節約できます。
 また、一人の知恵だけでなく、チームとしての知恵が必要となりますが、この知恵を引き出すのは共創型のコミュニケーションによる場合が多いのです。

5. 新価値創造のイノベーションによる需要創造
 新価値(サービス・商品)創造のためのイノベーションの成功確率を高めるには、自社の需要創造型戦略(市場情報活用型の製品リーダーやコストリーダー、企画開発型トータルソリューション戦略など、事業の差異化を図る戦略)を再構築すること、個人と組織の創造性を高めるマネジメントにチェンジすることです。
 ユニクロも、ニトリも、市場の情報を活用し、企画から製造・販売に至る新たな需要創造型のビジネスモデル(市場情報活用型のトータルソリューション戦略と製品リーダーの併せ技戦略)を構築しています。
 また、需要創造型戦略を浸透させ、成果につなげるには、現場から知恵が生まれるマネジメントを徹底させます。
 そして現場の戦略思考を強化し、現場力を高めるには、Y理論(人は生来は、働くことが好き)を前提に、お役立ちに結束してチャレンジする集団性格を高めるマネジメントに変えることです。
 そうすれば、個人と組織の知恵の創出が促進され、需要創造型戦略が現場で実践される確率が高まります。

6. 地域活性の取り組みによる需要創造
 地域活性(農業復興を含む)化の取り組みで需要創造を促進するには、地域に対するお役立ちイメージ(誰のどのようなニーズに対して、どのような価値を提供し、どのように役立つ状態を創りたいのか)と、お役立ちビジョン(いつまでにどのような状態にしたいのか)の構築に取り組むことです。各自でできることから明確にすることが鍵となり、それが基本となって、他社や自治体とのビジョンの統合が促進されるからです。

まとめ

 我々は今までもこれからも、需要創造に向けた取り組みをしていかなければなりません。
 そのための具体論としては、CPM経営(お役立ち道に立脚した需要創造型実践理念経営)の考え方ややり方を各企業が独自の形で明確にし、取り組むことです。
 具体的には、それぞれの企業が、需要創造型戦略を構築し、組織構造や制度・仕組みを明確にします。さらに、個人の創造性を引き出し、自分で自分を動機付け、自ら変革に取り組むマネジメントを磨きます。そして創造的文化を創り、新たな価値(サービス・商品)を生む考え方とやり方を磨き続けていく経営のスタイルのことをいいます。

 皆様の理念の実践と需要創造の実現に少しでも役立てれば幸いです。

お気に入りに登録

プロフィール

株式会社ジェック 代表取締役社長 葛西 浩平 氏

株式会社ジェック 代表取締役社長 葛西 浩平 氏

1953年 大阪府生まれ。1985年株式会社ジェックに入社。名古屋営業所長、大阪支社長を経て、1998年取締役就任。「CPM経営(お役立ち道に立脚した需要創造型実践理念経営)手法」の開発に従事し、2000年常務取締役を経て、2009年代表取締役社長就任。

関連記事

会員登録 / ログイン

会員登録すると会員限定機能や各種特典がご利用いただけます。 新規会員登録

会員ログインの方はこちら