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第5回  経営戦略に必要な人事部とは

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人事部に求められる戦略のパートナー

 ビジネスの成果に貢献する、すなわち、経営戦略に貢献することができる戦略的なビジネス・パートナーとしての役割が、今後、経営から強く求められているのが分かります。

 では、戦略的なビジネス・パートナーとはどのような役割なのでしょうか。

 フォーチュン100社の優良企業(※1)の人事に関する共通点を探していくと、人事部の役割が明らかなってきます。

 この戦略的なパートナーとなるためには、次の2つの段階を踏む必要があります。
 まずは、戦略的パートナーとなることへの意識作りです。
 社員に対する考えから見なおし、人事部の価値についても見直しています。

 次に、戦略的組織になるために価値を提供する人事機能とその機能設計について見直しをします。
 少ない人数でも戦略的な組織になるために、戦略的な機能を持たない人事サービスや作業(例えば、給与処理や福利厚生など)はできる限りアウトソーシングします。また、採用でも募集から書類選考、1次面接試験までの機能だけをアウトソースしています。

 こうした段階を経て、人事部は戦略的なビジネス・パートナーになっていきます。

 戦略的なビジネス・パートナーとは、

(1) 経営陣や現場マネージャ、更には、社員からも信頼され、頼りにされる存在であること。そのためには、まず経営陣やマネージャ、社員とのコミュニケーションが十分にできなければならない
 ・経営陣とのコミュニケーションに於いては、経営方針やビジョン、経営戦略、決算書を理解する知識やスキルがある。
 ・現場のマネージャとのコミュニケーションでは、現場の知識や状況を的確に把握するだけでなく、そのビジネスにも精通しており、マネージャと協力して目標達成のための支援ができる。目標達成に必要な社員に対しても支援ができる。

(2) グローバル化などの課題に取り組むために、あらゆる方向で強いリーダーシップを発揮し、満足度の高い支援や提案、解決策の提供ができる。

(3) 経営戦略に完全一致した人事戦略を作ることができ、その実現の責任を負う。たとえば、経営戦略に基づく人財の確保、配置、活用における実現性と効果性について、現場の組織と連携を取り、具体的な計画に落とすことなど、人財確保において経営戦略と事業成長にマッチした求める人財像に沿った採用が行われるようにマネジメントができる。

(4) 企業の成長戦略に合わせた人財の育成やキャリアパスの設計、それが実現できる。

(5) 社員一人ひとりの情報を統合し、一元管理し、国境や企業間の壁のない登用や配置の支援ができる。社員の適性やキャリアパス、能力開発を考慮した適材適所の把握ができており、タイムリーで適切な人的アドバイスを経営陣や現場のマネージャに行うことができる。

(6) 組織マネジメントに貢献することができる。各組織がそれぞれの使命、役割、目標、戦略に従って、成果が出せるように、個別の目標、チャレンジ、モチベーション、スキルなどを現場のマネージャと共に組織の運用管理の支援を行うことができる。

(7) 部分最適化より全体最適化を優先とする総合的な視点を持っている。

(8) 未来洞察力があり、未来に向けた取り組みに積極的に参加し、計画達成のための変革を起こすことができる。

 フォーチュン100社の優良企業における、戦略的なパートナーの人事部の責任者は、採用担当20年、人事業務一筋20年の経験者はもはやいなく、キャリアパスの途中や最後に人事に来ており、複数の現場経験(営業やマーケティングなど)や海外赴任などの経験を積んだ、現場のビジネスも経験した人財で構成されています。
 また、別の経験者もいます。全世界の社員の情報(ビッグデータ)を正確に、効率よく分析するための高度な統計分析を行うプロが人事の三分の一を占めている企業もあります。

 次回の第6回は、戦略的なビジネス・パートナーとして社員をどのように扱い、どのようにマネジメントするのか、その本質について理解をしていきたいと思います。


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プロフィール

戦略人財コンサルタント代表 社会保険労務士 鬼本 昌樹 氏

戦略人財コンサルタント代表 社会保険労務士 鬼本 昌樹 氏

25年以上のIT、人事、経営の現場経験を通して独立。
オラクル、GEキャピタル、商社、大手通販などの米国企業、日本企業で人材開発部長、人事部長、役員、副社長を経験し、変革のリーダーとして、組織改革、制度改革、意識改革、人事部変革に貢献し、ベストマネジメント・アワードなどを受賞する。

現在、人事コンサルタントとして、
・タレントマネジメント
・パフォーマンスマネジメント
・デベロップメントマネジメント
を強みとする。
さらに、米国で、行動心理学をマスターし、人が動く仕組み作り、マネジメント作り、そして、人作りに貢献している。日本企業、外資系企業、業界、規模を問わず、幅広くコンサルティング活動を行っている。

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