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社員がうつ病になったとき企業はどのように対応するべきなのか~企業と社員のWIN-WINを目指して~

第5回  再発させない職場の受け入れとは

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 うつ病の再発率は厚生労働省によると60%と言われています。なぜ再発を繰り返してしまうのでしょうか。それは本人と職場との間で再発しないための取り組みを行っていないことが大きな要因です。また、再発を防ぐためには主治医としっかり相談して、薬の調整をしていくことが大切です。

 では再発しないために職場としてはどのように受け入れたらいいのでしょうか。
 再発を繰り返す最大の要因は本人の「焦り」です。早く復職したい、信頼を取り戻したいと本人は考えがちです。
 ですから、職場はこうした気持ちを汲んで、できるだけ焦らせないようにしましょう。
 具体的な取り組みを5つピックアップしてみました。

①仕事の量は徐々に増やす
 本人は信頼を取り戻そうと、復職した時には頑張ろうという気持ちが大きく働きます。ただ頑張りすぎることによってプレッシャーを感じたり、オーバーワークになりがちです。職場からまずは本人にとって負荷がかかりすぎないよう業務量を調整していきましょう。

②勤務時間の短縮
 以前フルタイムで働いていた方であっても始めは少し勤務時間を短くし、また満員電車を避けることにより本人の負担を軽減できます。フルタイムで働きたいと思うかもしれませんが、職場がストップをかけることで本人にしっかりと再発しないように働いていこう、というメッセージを出してあげましょう。

③残業・深夜業務を避ける
 本人の生活リズムをしっかりと整えるために、残業はなるべく避けることをお勧めします。もしシフト制のような雇用形態であれば、昼のみにした方が本人の生活リズムが整いやすくなります。休職中にせっかく生活リズムを戻して体が健康になっていたとしても、また生活リズムが乱れることによって、再発しやすい体に戻ってしまう危険性があります。

④業務変更や異動
 本人が頑張りすぎてしまう、やりすぎてしまうといったこともあるので、前より負担のかからないポジションに業務変更してあげるましょう。そのことによって本人の持っているパフォーマンスを最大限引き出せるのではないでしょうか。
あまりに忙しく例えばノルマのあるような部署などに復職すると、本人は信頼を取り戻すために焦りが生じます。職場から調整してあげることが再発しないための取り組みになります。

⑤職場の理解
 復職された方などに対して、以前と同じように働いてもらい成果を期待するのではなく、再発しないためにペース配分を考えていきましょう。職場の方が病気について理解してくれていると感じるだけで、本人の心の負担もかなり軽減されます。
 また、医師や専門家から本人がどのような時にストレスを多く感じるのかを聞くことが出来れば、再発を防ぐことに大きく役立ちます。
 例えば、自分の能力以上の仕事を抱え込んでしまうタイプ、まずはやってみることが大切と考えている上司に対して、一つずつ確実に出来ることを確認したいタイプと、人の性格や考え方からストレスを感じるケースや、相性によってストレスを感じるケースがありますので、本人と特性を理解してあげてください。

 ここではこの5つを挙げましたが、職場ですべて対応することは非常に難しいことと言わざるを得ません。
 ただしフォローを早めに行っていくことによって、しっかりと職場に定着することができ、尚且つすぐにではなくとも本人の持っているパフォーマンスも発揮できるようになっていくでしょう。
 職場内だけでは確かに難しいことなので、外部の専門機関と協力して対応していくことをお勧めします。

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プロフィール

株式会社リエンゲージメント 代表取締役 上村 裕介 氏

株式会社リエンゲージメント 代表取締役 上村 裕介 氏

1988年、シーズスタッフ(現在のリクルートスタッフィング)に入社 首都圏で4年間営業を行った後に、マネージャーとして大阪支社・神戸支社(支社長)を経験、神戸支社長時代には神戸の震災復興に携わる経験をする。 首都圏に戻りIT専門部隊の立ち上げ、買収企業との経営統合プロジェクトに参加する。 その後中規模派遣の営業本部長、ワークスシーズHR代表取締役社長を経験し、2013年一般社団法人リエンゲージメントを立ち上げ、現在精神疾患を持った方の就労支援や精神疾患で休職者された方の対応・トレーニングや受け入れ時職場コンサルティングを行っている。

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