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事件は現場で起きている!複雑難解なインド法規制の実態に迫る

第1回  日本-インド間の国際取引の実態を正しく理解する

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インドから日本への海外送金時に準備すべき書類について

 日本法人がPANおよびTRCを取得したら、次はインド側で海外送金の手続を進めていくことになります。送金目的(支払の対象となっている取引内容)にもよりますが、海外送金時には、原則、銀行から以下のような書類の提出を求められることになります。

 1.請求書のコピー
 2.その他関連証憑書類のコピー(付随する根拠書類や契約書、合意書など)
 3.海外送金依頼書(Remittance Application:銀行所定の申請用紙)
 4.海外送金報告書(Form A2:RBI規定の用紙)
 5.海外送金にかかる源泉徴収報告書(Form 15CA:税務当局指定の用紙)
 6.海外送金にかかる源泉税に関するインド勅許会計士の証明書(Form 15CB)
 7.法人設立証明書(COI : Certificate Of Incorporation)
 8.外国対内送金証明書(FIRC : Foreign Inward Remittance Certificate)
 9.宣誓供述書(Declaration : 設立費用の立替精算の場合など)
 10.その他インド勅許会計士による証明書(Certificate : 設立費用の立替精算の場合など)

 それぞれの書類準備にも相応の時間がかかるのですが、No.6やNo.10のインド勅許会計士が発行する証明書は、外部のインド勅許会計士に依頼をしなければならないため証明書の発行手数料として追加費用がかかります。なお、「Form 15CAおよび15CB」とは、海外送金の対象となっている取引が源泉課税取引である場合に、正しい税率でTDS(源泉所得税)が控除されているかどうかを確認・証明するための書類ですが、Finance Bill, 2015によると、2015年6月1日付以降、Form 15CAおよび15CB は、原則、非居住者へ支払をする全ての者が(当該取引が源泉課税対象であるかどうかにかかわらず)提出する必要がある旨の改定が行われ、同日以降、多くの金融機関が今までは提出を求められていなかった輸入貿易取引であっても当該Form15CAおよび15CBの提出を求め始めています。
 また、支払のタイミングについても注意が必要です。海外へのサービス提供等に対する対価の支払いであれば支払期限の規制はありませんが、日本からインドへの物品等の輸入に対する支払については、原則、船積みから6ヶ月以内に支払をしなければならない規定もあり注意が必要です。支払時に求められる一連の手続を事前に理解した上で、どのような契約内容にするのか、どのようなタイミング・頻度で支払を実施していくのか等当事者双方で十分な検討が必要です。

海外送金が完了した後に日本法人が対応すべきこと

 インドから日本への海外送金が完了したらこれで全て終了、かというとそうではありません。インドの場合には、PANを取得して租税条約の軽減税率を適用して支払を行った場合、送金を受領した日本の親会社自身がインドの税務当局に対して税務申告書を提出する必要があります。他国においては日本の親会社が現地国に対して申告しなければならないケースは稀で、そもそも申告書の提出義務を知らなかったという(日系企業を含む)外資系企業が比較的多かったようです。また、税務申告費用が追加で発生してしまうのであえて申告してこなかったケースもあったようですが、一昨年ぐらいまではインド税務当局から指摘をされるケースも稀で、結果的には事なきを得ていた状況ですが、昨年あたりから厳格に指摘をしてくる傾向になっています。これが冒頭でお伝えした「インドの税務当局から日本に対して英語の書面が送付されてくる背景」です。申告漏れによるペナルティーや、申告しているにもかかわらず申告内容に疑義があるとして追徴課税を要求してくるケースなどが散見されています。
 日本の親会社の税務申告作業においては、インドから受領した所得の総額と、源泉徴収されたTDSの総額を正しく把握することが必要となります。親子会社間の取引であれば、インド子会社がいくら日本に送金をして、いくらインドの税務当局にTDSを納付したかの情報を得ることは簡単ですが、関連会社ではないインド地場企業から受領している場合には、当該インド企業が四半期に一度発行するForm 16A(送金金額およびTDS控除・納付額が確認できる書類で、日本でいう“源泉徴収表”のようなもの)等を通じて定期的に情報収集しておくと、申告作業をよりスムーズ進めることができます。

 日本‐インド間の海外送金ひとつ取るだけで、これだけの手続およびインド国特有の税規制と背景を理解しておく必要があります。経理業務を含む各種法規制に対応していくためには、インド子会社側だけでなく、日本の親会社が求められるコンプライアンスも含めて、適切な専門家のアドバイスを受けながら、日本側の積極的な関与・サポートが必要不可欠です。

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プロフィール

Global Japan AAP Consulting Private Limited 代表取締役 田中 啓介氏

Global Japan AAP Consulting Private Limited 代表取締役 田中 啓介氏

京都工芸繊維大学工芸学部卒業。米国公認会計士。
税理士法人において中小企業の税務顧問として会計・税務・社会保険等アドバイザリーに約4年半従事、ナスダック上場企業において米国本社に対する財務報告業務や国際税務、ERPシステムを活用した経理部門シェアード・サービス導入プロジェクトを約3年経験後、30歳を機に海外勤務を志し、2012年から南インドのチェンナイに移住。当地インドで実務を深く理解し、かつ、長期的に日系企業のサポートができるコンサルタントが必要であると感じ、2014年10月に株式会社グローバルジャパンコンサルティングとAsia Alliance Partner Co., Ltdとともに当社を共同設立し、その後代表取締役に就任。これまで100社超の在印日系企業や新規進出企業向けに市場調査から会社設立支援、会計・税務・人事労務・法務支援サービスを提供している。
Global Japan AAP Consulting Private Limited

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