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女性が管理職になりたがらないほんとうの理由

第3回  なぜ女性は管理職になりたがらないのか?

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 また上記は社会全体で女性の就業状態の変化を見るデータでしたが、次に就業状態にある女性に限定してライフイベントがどう変化するかを調査したデータを見てみます(表1) 。すると育休制度の有無に関わらず出産後の継続就業率が4割前後でほとんど変化していないこと、つまり育休制度の前も後も6割が出産を機に退職していることがわかります。さらに就労形態ごとに比較すると、正規職員は就業継続率がやや向上し、育休制度を利用した割合も13.0%から43.1%に変化しており、育児休業制度の恩恵を受けていることが分かりますが、パート・派遣の就業継続率は23.7%から18.0%にむしろ低下しており、育休制度利用者も少ないままです。つまり育休制度の整備は出産後の就業継続につながっていないこと、かつ非正規雇用の女性に至っては制度の利用すら進んでいないことが分かります。近年は非正規雇用者の割合が増加していることを踏まえると、Mカーブの解消傾向は女性が就業を継続することではなく、非正規雇用での就労が増えたことの結果であると考えられます。

2)女性の意欲の問題

 ではなぜ就業意欲が強い出産後の女性が離職するのでしょうか。内閣府男女共同参画局は30-40代の女性を対象として、出産前後の働き方の理想と現実を比較しています (図4)。理想ベースでは出産前は「残業もあるフルタイムの仕事」の割合が高いのですが、出産から「子どもが3歳以下」では一時的に「働きたくない」の割合が高くなり、その後は「残業のないフルタイム」「短時間勤務」「在宅勤務」の割合が高くなっています。つまり子どもができるまでは残業を厭わず働いていた人も、子どもが小さいうちは子育てに専念し、その後は子育てと両立できるような時間帯での働き方を求めているのです。しかし、現実ベースでは結婚・出産によって「正社員」の割合が低下し、その割合はその後も上昇しません。増加しているのはパート・アルバイトの割合のみであり、さらに「働いていない」の割合が「働きたくない」希望と比較して圧倒的に多くなっていることを指摘しています。第2回でも述べた通り、一度離職すると多くの女性にとって復職時は非正規雇用の道しかないという現象がここでも見て取れます。つまり、女性が子育て期に希望する「残業のないフルタイム・短時間勤務・在宅勤務」といった働き方を実現する職場がないために、就労意欲がありながらも現実には働くことができない、またはパートとして働くという選択をする女性が多いのです。

 これまでのところで、女性が企業で活躍するうえでの課題は、1)出産後も仕事を続けるためには育休制度を整えるだけでは不十分である、2)女性に就労意欲があっても子育てと両立できる働き方が実現できない、であることが分かりました。そしてその結果が、女性の活躍度指標である女性管理職比率の低さとなっているのです。

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プロフィール

静岡県立大学/ワークシフト研究所<Br> 国保 祥子 氏

静岡県立大学/ワークシフト研究所
国保 祥子 氏

経営学博士。静岡県立大学経営情報学部講師、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科非常勤講師。外資系IT企業での業務変革コンサルティング経験を経て、慶應ビジネススクールでMBAおよび博士号を取得。エーザイ株式会社、JA全中、静岡県庁、石川県庁、インキュベーションオフィス等の経営人材育成プログラムの開発および導入に従事。Learning Communityを使った意識変革や行動変容を得意分野とする。2011年から地域の社会人と学生が共に地域の課題を検討する「フューチャーセンター」を、2014年から育児休業期間をマネジメント能力開発の機会にする「育休プチMBA勉強会」を運営している(事務局 ikukyumba@gmail.com)。1歳児の母。

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