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女性が管理職になりたがらないほんとうの理由

第2回  そもそも、なぜ女性が活躍する必要があるのか?

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■女性にとっての活躍するべき理由


①出産離職で失う生涯年収は2億円以上

 女性当人にとっての活躍するべき理由の筆頭は、生涯年収です。残念ながら現在の日本社会では、結婚や出産でいったん離職してしまうと、正社員として再就職することは極めて難しくなっています。ある調査では、結婚等で一度仕事を辞めた場合、再就職で年収300万円以上になる女性はわずか12.0%、400万以上となるとたったの5.6%であることが分かっており、半数以上の女性の再就職は年収100万円前後のパートタイムとなります。大卒女子総合職が育児休業を取得することで離職せずに定年まで38年間働き続けた場合の平均生涯賃金が約2.6億円であるのに対し、出産を機に退職してパートとして再就職した場合の生涯賃金は5千万円となっています。つまり、いったん退職することで正社員という道が閉ざされると、結果的に2億円以上の生涯賃金の差が生まれるのです。もし正社員として働きたいならば、ライフイベントでも「辞めない」ほうが合理的です。


②保育園激戦区ではいちど離職すると保育園に入れることが難しくなる

 子どもを持ちながら働くためには、保育園という子どもの預かり場所の確保が重要です。しかし都内をはじめとする保育園では常に定員満杯です。待機児童問題が解決しない限り、出産を機にいったん離職してしまうと保育園に預けられる可能性をほぼ永久に失うことになります。というのは保育園にこどもを入れるためには親が就業状態であることが必須だからです。離職すると、こどもを保育園に預けられないために、働きたくても働けないという状況に陥ります。本来は親が入園のタイミングを選べる社会であってほしいとは思いますが、現状は程遠いため、もし働き続けたいならば、出産・育児で離職しないほうがよい、と言えます。そして前回に説明した通り、出産前に予想している以上に、出産後に仕事への意欲が高まる人は多いのです。


③長く働くためには管理職を視野にいれたほうがよい

 もしも長く仕事を続けるつもりであれば、管理職に昇進したほうが合理的です。プレイヤーは労働時間やチームメンバーの選択権を持てませんが、管理職であれば自分で決定できる範囲が大きくなります。また、自分が昇進しなければ、同期や後輩が先に昇進して上司になったりします。より多くの責任を負う管理職は非管理職より給与が多くなるのは当然で、大卒30-50代の平均給与を管理職(課長以上)と非管理職で比較すると、月給にして11万円~25万円、ボーナスにして32~82万円の差があることが分かります。昇進しないということは、責任への対価であるこの報酬を手放すということです。管理職になるということは、意思決定側になるということでもあり、自分や後輩が働きやすい職場づくりに貢献できるのも非金銭的な報酬だと思います。

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プロフィール

静岡県立大学/ワークシフト研究所<Br> 国保 祥子 氏

静岡県立大学/ワークシフト研究所
国保 祥子 氏

経営学博士。静岡県立大学経営情報学部講師、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科非常勤講師。外資系IT企業での業務変革コンサルティング経験を経て、慶應ビジネススクールでMBAおよび博士号を取得。エーザイ株式会社、JA全中、静岡県庁、石川県庁、インキュベーションオフィス等の経営人材育成プログラムの開発および導入に従事。Learning Communityを使った意識変革や行動変容を得意分野とする。2011年から地域の社会人と学生が共に地域の課題を検討する「フューチャーセンター」を、2014年から育児休業期間をマネジメント能力開発の機会にする「育休プチMBA勉強会」を運営している(事務局 ikukyumba@gmail.com)。1歳児の母。

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