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言葉がけの改善で、部下と組織を強くする

第5回  シナリオを共有化し、組織の財産にする

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残念な例、良好な例の比較

 部下が提出してきた提案書が上司の期待レベルより低かった場合、どのような言葉がけで書き直させると良いのかについて、部下のモチベーションが下がる残念な例と、おそらくレベルアップしたものが再提出されるであろう良好な例を比較しながら見ていきましょう。

(×残念な例)
起:昨日提出してもらった提案書だが、商品の特徴をダラダラと書いているだけだ。
  頑張った割には、分かりにくいよ。
承:君が提案したいことを一方的に書いて、お客様のニーズを考えてるか?
  結局、お客様の事なんて、これっぽっちも考えてないだろう。
転:そのお客様が知りたいのは、デザインの斬新さ……だけじゃないんだな。
  分かってないなあ。
結:もっと、お客様の目線で書かないとダメだよ。
  書き直し!

(〇良好な例)
起:昨日出してもらった提案書は、商品の特徴をトータルに書いてあるね。
  よく頑張ったと思う。ありがとう。
承:あとは「提案する側の都合」も大切だが、「提案される側の気持ち」も重要だ。
  要するに、お客様のニーズをもっと考える必要があるよ。
転:そのお客様が知りたいのは、デザインの斬新さ以上に、コストなんだよ。
  その部分をもっと強調して書こうよ。
結:お客様の目線で書けるようになると、成果も上がり、やり甲斐もアップするぞ。
  期待してるよ!

 良好な例のポイントは、まず「起」の部分で、たとえレベルが低かったとしても頑張って書いてきたことに対しては承認してあげることです。具体的にどうしたら良いかは後の段階で指摘すればよいので、入り口の段階で相手が心を閉ざさないように注意します。

 次に「承」では、自社の都合しか考えていない部下に対し、“お客様の目線”を思い出させることが部下の「とらえ方変換(発想変換)」につながります。また「転」では、コストを強調して書くよう告げており、これは「して欲しい変換(具体的指示)」を心がけた結果です。

 最後に「結」において、相手がモチベーションを高くして取り組めるよう、ポジティブな激励の言葉で送り出します。

ミーティングの場でシナリオを共有化

 部下の育成が得意な管理者の話を聞くと、共通しているのは「部下にポジティブな発想を促すこと」や「具体的な指示を与えること」といったように、ペップトークのシナリオと重なる部分が多いことに気づきます。

 したがって、社内に部下の動機づけで成功した管理者がいれば、その人のトークをシナリオに沿ってまとめることで、他の管理者が「発想変換の促し方」や「分かりやすい指示の出し方」を勉強できる実践的な参考書になります。

 次回は、ペップトークの応用編として「マーケティングや問題解決の現場での活用」について解説します。現場で成果を挙げていくために、ペップトークを活用しながら、どのように発想し、どのように言葉がけをしていくと良いのかを考えます。

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プロフィール

マーケティングオフィス・ウラベ代表 占部 正尚 氏

マーケティングオフィス・ウラベ代表 占部 正尚 氏

1987年、早稲田大学政治経済学部卒業。㈱日本エル・シー・エー(経営コンサルティング)に入社。26歳で講師デビュー、現在までの登壇実績は3,000回以上。
2008年、コンサルタント・研修講師・営業マンの3分野での経験を活かし、マーケティングオフィス・ウラベを設立。
モチベーションアップとロジカルシンキングを融合させた独自のプログラムにより、受講生が1日で着実にスキルアップする成果重視の研修には定評がある。
現在、一般財団法人日本ペップトーク普及協会の理事を務め、大手企業や行政機関からの研修依頼が多数。著書:ビジネス・ペップトーク(日刊工業新聞社)
ホームページ:
マーケティングオフィス・ウラベ
一般財団法人日本ペップトーク普及協会

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