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言葉がけの改善で、部下と組織を強くする

第5回  シナリオを共有化し、組織の財産にする

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 上司が部下のモチベーションをアップするためには、ポジティブな発想で具体的にどうしたら良いのかを明確にして告げることが大切です。なぜなら、部下は成果に向けた行動が頭の中で明確になり、やる気が増すからであることを前回までに解説しました。

 「そんなことは自分なりにやってきたよ」と思われた方もいらっしゃるでしょう。そのような管理者は優秀であり、おそらく人望があり人材育成において豊富な実績をお持ちのはずです。

 ただ、多くの企業で見られる困った問題は、優秀な管理者がスキルを発揮できている間は部下も育ち組織の成果も上がっていきますが、その人が異動したり辞めたりして組織にいなくなった途端に、部下のモチベーションも成果も下降線をたどることです。

「見える化」は「共有化」につながる

 近年は、組織の運営について有効なやり方を「会議運営マニュアル」「資金管理マニュアル」などのマニュアルにまとめ、組織内の誰が見ても内容が分かり、担当者がいなくなっても後任者がすぐに引き継げるようになってきました。

 このような考え方や手法を「見える化」と呼び、見えるようになった物事の流れや上手くいく手順は、どの社員にも「共有化」されることで効率よく効果的な組織運営を実現できます。

 相手のモチベーションアップをはかるペップトークも、「見える化」をお勧めしています。その手段としては、モチベーションアップのステップを用いながら、起承転結をベースとしたシナリオとしてまとめます。
「見える化」は「共有化」につながる

シナリオの基本的な流れ

 モチベーションアップのステップである各項目「現状の受け入れ」「とらえ方変換」「して欲しい変換」に「背中のひと押し」を加えて4項目とし、起承転結の流れに当てはめます。

起:状況の受け入れ →相手の現状や行動を承認するトーク
承:とらえ方変換  →ポジティブな発想変換を促すトーク
転:して欲しい変換 →具体的な行動を指示するトーク
結:背中のひと押し →成果に向けて激励するトーク


 この流れに沿って、シナリオの簡易的な例を見ていきましょう。場面は、競合他社とともに参加する新商品のプレゼンテーション会(商談会)を前にして、プレゼン担当の部下に上司がペップトークで激励するところです。

起:これまでは競合のA社が連勝している。
  なぜだか分かるかい?
承:顧客ニーズに徹底して応えているからだよ。
  それができれば、我が社にも勝機があるはずだ。
転:本番までに再度お客様のニーズを洗い直そう。
  本当に求められているものは何か、追究しよう。
結:さあ、やるべきことはハッキリした。
  今度こそ、A社に勝って祝杯をあげよう!

 ここでポイントとなるのは、「起」で敵側のA社について「連勝している」という表現を用いていることです。もし「我が社は連敗している」と表現してしまうと、社員は「また負けるかも知れない」というマイナスのイメージを無意識に持つ危険性があります。

 たとえ敵側のことであっても「勝つ」というポジティブなイメージを与えることによって、「今度こそ我らが勝つ」という意思を社員が抱きやすくなるのです。

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