経営・ビジネスの課題解決メディア「経営プロ」

言葉がけの改善で、部下と組織を強くする

第1回  言葉の力を味方につけるか、敵に回すか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 人間は言葉で物事を考え、言葉で情報を発し、言葉で相手から受け取る動物です。したがって、相手に自分の意思を伝えたり、自分の思うように動いてもらいたい場合、相手に届ける言葉がとても重要な働きをするのです。

 ビジネスシーンにおいて、社員に対して指示を出したり、重要な局面で激励する場合、言葉の内容によって社員の思考が大きく左右され、指示通りに動くか否か、モチベーションが上がるか否かの分かれ道となります。

職場で見かける、意図が伝わらない残念な場面

 さて、多くの職場で社員のモチベーションが下がったり、組織風土が暗くなる場面を見かけます。その主な原因としては、上司が部下に対して、あるいは同僚同士の会話において、相手にどうなって欲しいのかを問うよりも、欠点や不足部分の指摘や感情的な放言であることが目立ちます。

 例えば、提案書を書いた部下に対して「書いている量は多いが、自分の書きたいことばかりダラダラと書いているだけだ。これじゃダメだ。書き直し!」という言い方をよく耳にします。

 おそらくこの上司は意地悪で言っているのではなく、「鍛えてやる」「自力で考えろ」という思いが強いのでしょう。むしろ熱心で親心に満ちているケースが多いのです。しかし、多くの部下は「えっ、具体的にどう書き直せばいいの?」と迷ってしまい、少なくとも意気揚々と書き直そうとはしないはずです。

 このように、自分が発した言葉が、自分が意図した方向とは違う意味合いで相手に伝わってしまうと、逆効果になりかねないのです。ここに言葉がけの難しさがあり、多くの経営者や管理者などリーダーが悩むところです。

行動と結果を左右する、右脳と左脳の仕組み

 では、どうして人は自分の気持ちとは裏腹に、相手のやる気を削ぐようなネガティブな発言をしてしまうのでしょうか。その原因を知るために、脳の仕組みを簡単に見ておきましょう。

 よく知られているところでは、右脳と左脳では役割が異なり、右脳は感性をつかさどり、直感や芸術的感覚に富んだ思考をするよう働きます。また、左脳は論理性をつかさどり、理屈や学術的論法に富んだ思考をするよう働きます。

 さて、話は原始時代に遡りますが、私たちの祖先は常に命にかかわるような危険と隣り合わせで生きていました。例えば、草原で遠くにライオンが見えた場面を思い描いてください。

 「右に逃げたら丘がある。左に逃げたら川がある。丘を登っても脚力の強いライオンに追いつかれるだろう。しかし、ライオンが川で水を浴びているところは見たことがないから、川に飛び込んだら助かるかも知れない。」と左脳によって理詰めでじっくり考えていると、ライオンが素早く向かってきて食べられてしまいます。

 ここは、右脳で「丘か、川か?川だ!」「飛び込む?どうする?飛び込む!」と直感で考えた方が助かる見込みは高いでしょう。
 その後、安全を確保してから「やはり川に飛び込んだ人が多く助かっている(統計的情報)」「ワニがいるから素早く岸に上がれ(付随情報)」と左脳で分析し、知識を蓄積することにより、次の機会では危機回避の確率がさらに高まります。こうして私たちの祖先は“種の保存”を果たしてきたのです。

お気に入りに登録

関連記事

会員登録 / ログイン

会員登録すると会員限定機能や各種特典がご利用いただけます。 新規会員登録

会員ログインの方はこちら