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経営者として知っておくべき労働法

第4回  労働時間、休日、休暇

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休憩の取り方にもルールがある

 休憩は、労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも1時間、労働時間の途中に与えなければなりません(労働基準法34条1項)。

 労働時間の途中に与えなければならないとされていますので、出社時間を遅らせたり、退勤時間を早めたりして休憩時間に代えることはできません。

 この休憩時間は、使用者の指揮命令を離れた時間をいいます。
 また労働時間が6時間までは休憩を与えなくても構いません。

 休憩には、上記以外にも「一斉付与の原則」と「自由利用の原則」というのがあります。

 一斉付与の原則とは、事業場単位で労働者全員に一斉に与えなければならないとされています。(労働基準法34条2項)
 しかし現在では、休憩時間を一斉に取る方が非効率な場合もありますので、労使協定を締結しておき、交替で休憩をとることもできます。(労働基準法34条2項但書)。

 なお、公衆の不便を避ける等の理由で、商業・サービス業関係の事業場では、労使協定の締結をすることなく、交替で休憩を与えることができます。(労働基準法40条、労働基準法施行規則31条)

 自由利用の原則では、休憩は自由に利用させなければならないとされています。(労働基準法34条3項)。
 自由利用とはいっても、全部が全部自由に利用するという事ではなく、事業場内で自由に休憩できるかぎりは、事業場外への外出を許可制にしても差し支えありません。(S23.10.30基発1575号)

法律で定める休日は週に1日?

 労働基準法では、使用者は労働者に対して「毎週少なくとも一回の休日」を与えなければならないとされています。(労働基準法35条1項)。これが週休一日制の原則です。

 休憩と違って一斉付与の原則はなく、個別的に与えることも可能です。
 「毎週」は、曜日の指定がなければ、通常、日曜から土曜までの暦週とされます。
 「1回の休日」は、午前0時から午後12時までの暦日をいいます。
 さらに休日には曜日の特定を求められていませんが、曜日の特定が望まれます。

 労働基準法は、例外として「4週を通じて4日」の休日を与えるという方法も認めています(労働基準法35条2項)。これを変形週休制といいます。
 この変形休日制で運用するには、4週間の起算日を就業規則等に定めておくことが必要となります。(労働基準法施行規則12条の2)

 ここで「休日って土日の2日あるんじゃないの?」と疑問が生じます。
 法律で定める休日は1日あればよく、これを「法定休日」といいます。
 この法定休日以外の休日を、会社のルールに基づいて定めるものとされ「所定休日」といいます。

 1日8時間、1週40時間以内の法定労働時間を守るために、週に5日勤務し、残り2日を休日とする形をとる事が多いため、実際には休日は2日となります。

 実はこの法定休日と所定休日での違いは、割増賃金の計算にあります。
 法定休日に休日勤務をした場合、時間に関わらず35%増しの割増賃金を支払わなければいけません。
 所定休日に休日勤務をした場合は、勤務時間が1週40時間以内に収まるときは割増賃金は
 発生せず、1週40時間を超えた分から25%増しの割増賃金を支払うこととなります。
 なお深夜時間(午後10時~翌朝5時)に勤務した場合の割増賃金は、労働時間の長さに関係なく支払われることとなります。

休日は他の日に振り替えたり、代休を取ることができる

 労働日と休日を「事前に振り替える」ことを、休日の「振替」といいます。

 振替休日にした場合、休日と労働日が入れ替わっていますので、実際に休日に働いても原則として割増賃金の支払いは生じません。

 しかし、頻繁に振替休日を行うと、労働者の私生活が乱されるおそれがあるため、以下の方法をとることが求められています。

①就業規則等に振替休日を定める
②振替休日を行う際は、振り替える休日と労働日を特定する
③事前に労働者に通知する

 休日の振替と似ているものに「代休」があります。
 代休とは、先に休日労働が発生した状態で、その後に他の日を休日にすることをいいます。
 この場合、休日と労働日とが事前に振り替わっていませんので、休日労働分の割増賃金の支払いが必要になります。その後に与える休日について有給か無給かは法律上の定めがないため、就業規則等でどちらにするかを定めておかないと後日トラブルの元となりかねません。

 次回は、「労働保険、社会保険の仕組み」についてお伝えします。


※本文中の法律についての記載は、平成28年8月18日現在の情報です。

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プロフィール

特定社会保険労務士 社会保険労務士法人スマイング代表社員 株式会社スマイング取締役  成澤 紀美 氏

特定社会保険労務士 社会保険労務士法人スマイング代表社員 株式会社スマイング取締役 成澤 紀美 氏

弘前大学 人文学部(現、人文社会科学部)卒業
大手SI企業・外資系物流企業・住宅建設不動産企業でシステムエンジニアとして10年以上にわたり技術開発・システム設計を担当。人事管理システム構築を行った事がきっかけで人事・労務に興味をもち、人事・労務コンサルティング事業を行う。
IT業界に精通した社会保険労務士として、人事労務管理の支援を中心に活動。企業の視点に立った労務管理セミナーや研修を行っている。
ホームページ:http://www.nari-sr.net/

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