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経営階層に求められる能力とは?

第9回  理念経営の復活

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 第8回では、「経営階層への成長モデル」と題して、経営階層への発展プロセスについて、四つのキャラを使ってポイントを解説いたしました。今回は、「理念経営の復活」と題して、「経営階層に求められる能力とは?」の連続寄稿の締めくくりとしたいと存じます。

理念とは?

 朱子学によれば、全ての存在の大元として太極があり、そこに「理」が存在していて、そこから人間の魂を構成している「性」が生まれてくると言われています。一方、理の凝縮した形態として「気」と「質」があり、魂は両者におおわれているので、本来の「性」とはずれた「情」の発現となると説明されています(『大学・中庸』島田虎次著、朝日文庫)。
 道教では「魂魄(こんぱく)」という言葉がありますが、「魂」は「性」で構成され、「魄」は「気」で構成されています。「魄」は物質である肉体を操作する役割を持っていると言われています。
 「性」は「五常」という「仁・義・礼・智・信」の特性が付与されており、その特性が正しく発揮されれば、情として「惻隠(あわれみ)」「羞悪(はじ)」「辞譲(へりくだり)」「是非(けじめ)」が発現されます。
 つまり、人間の心という存在は、理から生成された性で構成された「魂」と、肉体を操作する為の「魄」で構成されていて、「魂」と「肉体」の影響により「情」の発露が決まっていると言えます。
 理念とは、「理を念(おも)う」と読むことができ、「理」すなわち五常の特性を大切にする意味となります。

理念価値とは?

 理念が生み出す価値を理念価値と言いますが、西洋哲学のプラトンによれば「真・善・美」の三つの価値を理念価値の根源としています。
 第3回で大極には「体」と「用」と「則」の働きがあり、「体=陰」、「用=陽」、「則=冲」に呼応すると説明しましたが、理念価値を加えると「体=陰=美」、「用=陽=善」、「則=冲=真」と言うことができます。「体」が理想状態の「ビジョン」であり、「用」はこのビジョンを実現するためになすべき「使命」であり、「則」は、ビジョンと使命をつなぐ「志」「信念」ということが言えます。

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