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第6回  東洋論理と西洋論理の違い

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 第5回では、日本文化を表現する茶道、能、日本画、弓道の中に息づいている「観の目」について記述いたしました。本稿では東洋と西洋の論理を比較し、「観の目」との関係を論じてみたいと思います。

西洋論理とは?

 西洋論理の思考法は論理思考として活用されていますが、第2回でも紹介したその原則は以下の三つです。
 「同一律」 AはAである
 「矛盾律」 AはA’ではない
 「排中律」 AとA’以外はない
 Cf. A’=否A

 「同一律」は、ある問題の議論領域において、Aとして規定したAは不変であるという前提を置くということです。物理特性などは、ほぼ普遍ですのでこの律に当てはまり易いことになります。
 「矛盾律」は、「同一律」の裏返し的表現ですが、Aという規定をした集合に対しそれと異なる集合をA’として分別し、ある属性により分別したのだからAとA’は異なるという主張です。この主張の背景には、顕在化したAとA’の和集合を全体集合としてとらえている、という前提があります。
 「排中律」は、AとA’の和集合を全体集合としているので、それ以外は議論の対象としないという主張です。

 以上を図にすると下に示す図となります。
西洋論理とは?

 あらためて論理思考の前提を整理すると、以下のことが言えます。
 ① 議論の対象となる全体集合を定めている
 ② AとA’という二つの分別をする
 ③ 分別した属性や、全体集合は不変である

 上記の②から、命題の真と偽を判別するという推論の論理が導かれました。ここで命題とは「真偽が客観的に判定できる文」のことです。
 推論で有名なのが三段論法ですね。
 「A→B」,「B→C」,∴「A→C」
  
 例を挙げてみましょう。
 A: ローソクは可燃物質である
 B: 可燃物質は火をつけると燃える
 ∴: だからローソクは火をつけると燃える

 この推論の前提は、以下のように補足できます。

 ①物質を対象にしている
 ②可燃物質(燃える)と非可燃物質(燃えない)の二値を扱っている 
 ③可燃と非可燃と分別した属性が成立する条件が不変である

 ③の条件とは、議論以前の無意識に置いている前提です。
 ・温度は零下でなくて常温である
 ・強風は吹いていない/大雨も降っていない
 ・酸素がある
   :

 議論の時に特に確認はしないですが、暗黙の前提においている条件ですね。論理思考ばかりやっているとこの無意識の前提を忘れてしまうことが多く、それが硬直的な思考をもたらす結果となりがちです。

 Aのことを小前提(事実)、Bのことを大前提(法則)、Cのことを結論(推論)と呼びます。科学の進歩は、この三段論法により科学は飛躍的に進歩しました。Aを材料、Bを処理プロセス、Cを成果物と置き換えると、処理プロセスが置いている前提が維持される限り、各自に同じ成果物が生み出されることになります。このように、事実から法則を適用して推論をなす論理を演繹法と呼びます。

 新しい科学法則が発見されれば、成果物の生成が安定的になされることになります。その科学法則の発見は、演繹論理とは違うアプローチによって生まれます。材料と結果から法則を推測するというものです。これは論証と呼ばれ、この論理を帰納法と呼びます。以上を図示すると以下の図となります。

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