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経営階層に求められる能力とは?

第3回  陰陽五行が示す経営プロセスサイクル

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「陰陽五行」が示す経営プロセスサイクル

 ようやく本稿の本論に辿りつくことができました。これまでの考察をまとめると以下の表となります。
「陰陽五行」が示す経営プロセスサイクル

 以上の整理から、陰陽五行が示す経営プロセルサイクルを構築して行きたいと思います。
 水の気は、精神の働きで「念い」ですから、経営理念に基づくミッションを掲げるということを示しています。「大学・中庸」に、大極には「体」と「用」と「則」の働きがあるとありますが、体=陰、用=陽、則=冲と言うことができます。この「体」が理想状態のビジョンですね。「陽」はこのビジョンを実現するためになすべき「使命」となります。そして「則」は、法則という意味もありますが、その奥にあるものを読み解くと、ビジョンを実現しようとする「志」ということができます。まさに「理を念う」ですね。ドラッカーも主張しているように、経営プロセスの最初と最後は、この「経営理念」プロセスとなります。
 経営理念というと現代では大分遠い存在と感じられる経営者も多いかも知れません。確かに短期的には経営活動には関係ないようにも見えます。しかし、昨今重視されている自律的人材の育成にとって、もっとも大事なのが共鳴するべき経営理念の提示です。経営理念の中で、会社として何を重視し、価値とするのかを明確化しなければなりません。例えば、昔急成長した東京通信工業、後のソニーの経営理念には、「快」「小」「匠」という価値が明記されていました。この価値が社員に浸透していたために、次々と新しい製品の創造が継続して行ったと言えます。この価値というのは抽象的ですが、常にこの理念価値に立ち戻ることが、実はきわめてイノベーティブな経営をもたらすことを保証するのです。この辺の記述は別の稿で詳述したいと思います。
 水の気の次は、木の気ですね。これは「学習・研究・開発」プロセスとなります。会社が重視している価値を体現している製品・サービスを支える技術・知識を学習・研究し続け、そして開発し続ける必要がある訳です。
 水の気の次は、火の気です。これは「マーケティング・営業」プロセスということができます。製品・サービスの継続販売と新しいクライアントの開拓ですね。
 火の気の次は、金の気です。これは「イノベーション」プロセスと位置づけられます。既存の製品・サービスの継続と新規製品・サービスの投入、あるいはそれを支える技術・知識の継続と変革、それを体現するシステム、組織制度の継続と変革、等がその働きとなります。
 金の気の次は、水の気ですね。これは「経営理念」プロセスというのは前述しました。「経営理念」に基づき、「学習・研究・開発」→「マーケティング・営業」→「イノベーション」とプロセスを進めます。この三つのプロセスは顕在化した現象世界で進みますが、「経営理念」のプロセスでは得られた成果を振り返り、その成果は当初経営理念で重視した「理念価値」を体現しているのかどうか、そこに一点の曇りもないのかどうか、を追求する必要があります。何か違和感がある場合はやり方の見直しが必要ですし、場合によっては新しい理念価値の付加が必要になってくると思われます。第1回で木の年輪は断層的発展を暗示しているとお伝えしましたが、理念価値による見直しプロセスこそが断層的発展をもたらす訳です。
 土の気は、プロセスとしては現れませんが、プロセスを行う場の維持として重要な働きを示しています。経営理念とその具体化された三つのプロセスをつなぐ回転軸としての「経営推進」であり、回転を安定的にするための健全な「経営風土」を維持する働きとなっています。
以上をまとめると、下図のようになります。

 アメリカにおいてもリーマンショック以来、経営のあり方について反省が進んでいるようですが、ドラッカーが主張するように「経営理念」プロセスを追加しないと抜本的解決にはならないと思います。先進国では社会インフラが整備され、プラトンが言った「真・善・美」の理想価値の中で、「真・善」まではクリアされたかに見えます。そして現代は「美」に力点がシフトされてきているように思われます。「美」に含まれる理念価値の中から何を自社の理念価値とするかの選択とその具現化こそが、時代が要請する断層的発展をもたらすきっかけになると思えてなりません。その意味で「経営理念プロセス」の重要性が増してきていると言えます。

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プロフィール

株式会社M 代表取締役 八木橋 英男 氏

株式会社M 代表取締役 八木橋 英男 氏

東京大学理学部物理学科卒業。興銀システム開発(現・みずほ情報総研)入社。経営情報システム、海外総合オンラインシステム、外為オンラインシステム(プロマネとして)等の開発を経験。日本証券テクノロジーに転職し、PMO部長、人事担当部長を歴任。FP見積法の導入、人材育成評価ツール「ノウハウマップ」の導入、事業強化拡大研修の開発・普及、等を推進。株式会社Mを設立し代表取締役に就任。「イメージ・ナビゲーション思考法」を軸にした新しいビジネス研修を開発し、普及中。産業カウンセラー、キャリアコンサルティング2級資格を保有。
ホームページ:株式会社M

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