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経営階層に求められる能力とは?

第1回  経営階層と実務階層の違い

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経営階層の役割とは?

 経営階層の役割は、企業の経営を担う役割となりますが、企業活動でもっとも重要なポイントは、企業が保有している「技術」と、市場の「需要」を「つなぐ」ところにあります。技術的変換による付加価値の提供と言い換えることができます。(Cf.「経営学入門」日本経済新聞出版社、伊丹敬之・加護野忠男著)
 この「技術」と「需要」をつなぐには、経営資源をうまくつなぐ必要が出てきます。
「人」「物」「金」に対応した、「労働市場」「原材料市場」「資本市場」とのつなぎが必要となってきます。この三つの市場とのつなぎを基盤として、「製品市場」とのつなぎが可能となってきます。この製品市場に、「需要」をもたらす顧客が存在し、製品を提供する「自社」と、異なる製品を提供する「競合先」が競争することになります。これを経営学では、3C(Customer、Company、Competitor)と呼んで、ミクロ環境と位置づけています。ミクロ環境に呼応するマクロ環境は、PEST(Politics、Economy、Society、Technology)と呼ばれ、この中に「技術」が位置づけられています。これらを図示すと、図2のようになります。
経営階層の役割とは?

 冒頭で、プログラムマネジメントは経営の役割の一部だと申し上げましたが、プログラムマネジメントもプロジェクトマネジメントも既に明確化されたプロジェクトをいかにうまく遂行するかというスキルとして位置付けられますので、中期・短期のマネジメントスキルと言うことができます。一方、「技術」と「需要」をつなぐという視点から前述した経営の「つなぐ」役割からは、より「長期」な視点が必要となってきます。
 また、空間的視点で言えば、市場でのポジショニングがきちんとなされているか、という外向きの視点と、需要に応えるための自社の経営資源が十分であるかの内向きの視点が必要となってきます。アメリカ企業の戦略は、前者のポジショニング型を重視し、日本の企業は経営資源型を重視すると言われております。(Cf.前掲書) これは、狩猟型民族と農耕型民族の違いが現れているのかもしれません。
 「技術」と「需要」を「つなぐ」のが経営の役割として重要なポイントと申し上げましたが、前掲書によれば、この両者はしばしば矛盾を発生させると言われています。「技術」が内向きな「組織マネジメント」とすると、こちらは「規律」と「安定」を求めます。一方、「需要」は外向きな「環境マネジメント」であり、こちらは「変化」と「革新」を求めることになり、矛盾が発生します。筆者も、SEの実務階層時代に、IT技術において「ホスト開発技術」から「オープン技術」へのシフトに直面しましたが、「これからまた新しい技術を学ぶの?」と唖然としたことを覚えています。技術は、習得するのにとても時間と労力を必要とすることから、どうしても保守的にならざるをえない、と言えると思います。しかし、環境の方は、そんなことにお構いなく、どんどん変化していきます。経営の役割として重要な「技術」と「需要」を「つなぐ」とは、実は、「保守」と「革新」の矛盾をどう克服して新たな「発展」に「つなぐ」か、という風に言い換えることができます。これを図示しますと、以下のようになります。

 「成長」を英語では「Grow」と言い、「発展」を「Develop」と呼ぶそうですが、両者の違いは、「同質の成長」か、「異質の発展」かの違いにあります。「改善」が「成長」をもたらすとすれば、「変革」が「発展」をもたらすと言えましょう。経営の重要な役割は、「成長」しつつ、環境の変化に対してどのタイミングで断層的「発展」に舵を切り替えるかにあると言えます。木を切ると見える年輪がその変化を示唆しているようにも思えます。

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